今回は拠点となる部屋もあってエルと一緒。
船を構成する木板がギッシギッシギッシと軋んでいるのがわかる。
この船大丈夫なの? と心配に思うのが本当のところなんだけど、同じ部屋にいる水野曰く「これでもこの世界で最高レベルのクルーズ船だから安心してください」 と窘められる。
どうやら今回は水野と相部屋で豪華客船によるクルーズツアー。
★『異世界転移クルーズツアー。 今回は拠点となる部屋も用意されています! 前回と同様、カノン様にピアノを演奏していただきたく……。』
とエルは口にするのだが
結果は見ての通り。
部屋はあるし安全は今のところある。
けど、場所が場所。
―ー無人島の灯台――
あれからアリアや長老がどうなったか気になってたから、あたしはもちろん、カノンに食って掛かるように『長老は無事!? カノンはどうなったの!?』
と、問い詰めたが流石はエル。 水野エルだ。
『それは自分で確かめるのが一番です!』
と言われ、長老とカノンの事が気になっていたあたしは
長老とアリアの安否確認のためにの招待を受け異世界転移クルーズツアーに招待された。
頑丈な作りであろう船内はどこかしこから軋み音が聞こえその軋み音に交じり船体にぶつかる横殴りの波音が聴こえる。
「ここは俗に言うVIPルームだから大丈夫です。 この後は食事会があるので、それまでに部屋に戻って来てくれればいいので自船内探索したり、外へ出ても大丈夫ですよ」
と案内してくれる。
異世界転移クルーズツアーもとい船による旅行というのは初めてなのでどうしたらいいのかわからないし、そもそもクルーズツアーなんてものをどう楽しんだらいいのかもわからない。
エルの話によると船内にはある程度スケジュールがあってそのほとんどは朝昼晩の食事程度。
それ意外は船内をうろついたり食事ができる場所でお茶を楽しんだり、仲良くなった人とおしゃべりすればいいそうだ。
エルは部屋の中でぶつぶつとドコか知らない国の言語で呟きながら書類を書いていた。
エルに断りをいれずに部屋から出ようとした時だ。
エルにはピアノを演奏して欲しい事を、頼まれていたのを思いだす。
「ピアノはドコにあるの?」
ぶつぶついいながら書類を書いていたエルの手がピタリと止まる。
「そうですね。カノン様に夕食会で頑張っていただかないとですもんね。」
と、立ち上がりこちらへどうぞ。 と促されエルとともに部屋を出る。
「奏者なんですから、ピアノに触っておくことも練習するのも大事ですもんね、夕食会までの間船内にいる人の娯楽のために演奏するのもいいかもしれません」
と、あたしはエルにつれられて衣装部屋へと案内されてエルに変わって専属のコンシェルジュに着替えさせられる。
そりゃあ学生服で人前で演奏なんてないわよね?
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