ツアーの中止。そして強制送還
申し訳ございませんが……」
と消えいるような声のエル。
あたしはまだなにも言ってない。
だけどその直後、エルの口元がなにかを呟くようにもにょもにょと動く。
少しひんやりとした空気に包まれ、違和感を感じた。
キーンという耳鳴りに違和感を感じながらあたしは 「そんなことよりも……」と叫びその続き、長老を助けてと叫ぶ。
途中から声音が吸い込まれるような感覚。
雪が降る夜の音が吸い込まれるような感覚。
「長老を助けて!」
と、改めてもう一度叫ぶ。
だけどあたしの体感は変わらず、声音が吸い込まれるように消える。
「申し訳ありませんが、カノン様、異世界転移ツアーは中止になりました」
あたしの目の前に現れたカノンの声は普通に聴こえる声音であたしの耳に届く。
…………?! 異世界ツアーの中止?
どういうこと?
あたしはエルの言っている事に理解が追い付かない
『何を言ってるんですか?宿泊先なんて用意してませんよ? 異世界転移ツアーですからね~』
と、言外に帰れないツアーだと言っていたはずだ。
それが、たったの1日で異世界転移ツアーが中止!
あたしはエルに問いただそうとするのだが、それよりも目先の長老の事……。
「ご心配には及びません。 今あたしとカノン様以外の時間は停止しております」
時間が止まってるならまだ猶予はあるって事よね?
「それならお願い!……」 長老を助けて! と言おうとした矢先
「カノン様は強制送還となります」
とエルがハッキリとした口調で言うのが聴こえた。
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