情報通の船頭さん。
「ヤムリ君はこの島では割と有名人でなぁ、奏者としての凄く注目されていたんたんじゃけぇ。 じゃがなものすごい頑固もので、両親から受け継いだピアノ以外では全く演奏しないんだよ。あのピアノに凄く思い入れがあるみたいでなぁ……。全く」
夕焼けに染まる真っ赤な空を反射して深紅の水面の上、揺れる松明の灯り1つで櫂を操る船頭のおじさん。
日中はあたしの生演奏を聴いて凄く感動したようだ。
「アリア様のパートナー候補とも称されたもんじゃけんども、頑固もだったから仕方ない……。 ダッヂ=ドール様がこの島から出ていった直後の大波さえなければ、今でもヤムリ君の音色は響いていたかもしれないじ。」
ダッヂ=ドール様って誰なのかわかんないけど、ヤムリ君は相当こだわりがあるみたいで、あの場所であたしに並ぶ演奏をしていたとの事。
ヤムリ君を連れてこれなかったのは凄く残念だけど、ヤムリ君がものすごい逸材だというのはわかった。
「アリア様は今夜は多分戻らないかも知れない。明日の務めのためにまた迎えに来るから今日はゆっくり休んでくれるかねぇ?」
ヌードバーの船着き場にゴンドラが停泊。
ゴンドラから降りると船頭さんはなにもかも知っているような口振りだ。
「ねぇ! やっぱりあたしアリアの事気になるの! 引き返してもらっていい?」
降りかけたゴンドラに再び乗り込む。
あたしはこの島の事もだけど、アリアの事全く知らない。
アリアの父親がこの島の魔王と呼ばれる存在で、その魔王は討伐されたのか、追放されたのか?
そして、アリアの母。 つまり魔王の奥さんだったのかな?
話しの経緯からいけば奥さんに間違いない。
そして、この島をおさめるめるリバースヘッドの長老がクビチョンパしてトドメを刺した……。
「アリア様は毎年この時期になると魔王城の中にある大聖堂にて一人、母親であるイーファ様にレクイエムを捧げております」
船頭さんは一番の情報通なのか、あたしが知りたい事を教えてくれる。
「もちろんこのことは一部の人しか知らない事ゆえご内密にお願いいたします」
つまり船頭さんが話した。 ということは内緒にして欲しいという事ね?
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