ざ剪定一位のンコヒーの演奏

ンコヒーの演奏はなかなかのものだった。

 リズム感覚もいいし鍵盤捌きも良かった。


  手本とするべきアリアの演奏も額面通りに演奏出来ていてそれはそれでいいことなのだが……。


「どうしてあたしが暫定1位なワケ? きっちり1位でもいいじゃないのよ! アリア様は替え玉使って失格だったんだから! 繰りあがりの1位なんて要らないわ!」


しかも アリアを目の前にして先日のコンテストの結果に不満を漏らす。 


 自意識過剰とはまさにこの事。

コンテストでもそうだったのを思いだす。


 力強く音を響かせなければならないところを目一杯の強さで響かせ、優しく奏でなければならないところをかなり弱々しく演奏していた。




 アリアの変わりに雷を落としてやりたかったけど、共犯者として、あたしは何も言えない。


 「コヒー、あなたの演奏は確かに一位を狙える演奏に間違いないわ。 でもあなたの演奏は我が強すぎて雑音が多すぎるの」


 


 と、コヒーの邸宅で演奏されたアリアの持ち曲を聴く。


 


 


 「アリア、アリアの演奏、聴かせてあげてもらえる?」


 


 と、コヒーからアリアに変わりアリアが演奏する。


 やはり、本家のアリアだ。 強弱がハッキリしていて耳馴染みがいい。

  アリアの演奏を聴きながらンコヒーに聞く。


 「コヒー、わかるかしら? よく聴いて、あなたの演奏とアリアの演奏、耳馴染み……、心地よく感じるのはどちらかしら?」

 

 アリアは自分の演奏に余程自信があったのか、口をとがらせながら


 「アリア様の演奏……。」 

 と、そっぽを向いて答える。

  アリアの演奏を聴いてンコヒーもなんとなくわかってくれたようだ。

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