奥様達の質問責めならぬ、尋問。アリアの回答に感謝しかない
「でも、あのツアーガイドが連れて来たんですよね?」
どうやってこの世界に来たのかしら? どうしてエーデル島に? あのツアーガイドはどうしてあなたを選んだのかしら?
ツアーガイドとの由縁、このエーデル島についての事等を訊かれ質問責め。
あまりいい雰囲気ではないのが容易に察せられる。
あたしがこの島に来た理由は夢の大舞台でのピアノの演奏という、キャッチフレーズに触れたからであり、そんな事が旅行雑誌に載っていたからなんだけど、そんな事言える雰囲気ではない。
おそらく、この剣呑な空気の元凶は水野が原因だろう。
そしてあたしへの質問責めならぬ尋問がアリアへとシフトチェンジ。
「アリア様? カノン様の演奏はどうでしたか? 一緒に演奏されたみたいですが、合わせるのが大変だったんじゃないですか?」
「いいえ、カノン様の演奏はとても素晴らしく、逆に見習わなければならないと思いましたし、わたくしの方がカノン様をリードできてるか不安になりました」
カノンはあたしの演奏については高評価らしい。
「カノン様の独奏は、聴いたのかしら?」
「もちろんです。 カノン様の演奏は長老様が認めておりますし、それ以外の島民も既に耳にして、納得しております」
と、アリアのうまい言い方にあたしは固唾を飲むんだけど、この手の手合いというのは本当にネチネチしていてもの凄く上から目線で詰めてくるからめんどくさいタイプだ。
その後もあたしがこの世界の人間ではないからと難癖つけてきたり、その度にアリアは衝突にならないように気を遣って答えてくれて、感謝の気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいだったのだけど、あたしはそろそろこの場を離れたい。
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