どこにでもいる井戸端会議の奥様達
「さすがに一件一件訪問しての指導は難しいんじゃないかしら?」
アリアと二人、各ご家庭に訪問して指導してきた事に関して話しをする。
「そうですよね……。 ですが、これが奏人の役割なので仕方ないです」
どうやらアリアは奏人に就任して以来、年中無休の休み無しで各ご家庭を訪問して指導をしてきたようだ。
アリアが『これからが大変です』と言った意味をようやく理解する。
「でも、これからはカノン様も手伝ってくださるから大助かりです」
さっきまで共鳴の塔で真っ青な顔をしていたけど、いつの間にか柔らかくなり、今度は陽が登ったかののようにニッコリしている。
でも陽がでているうちだけといってもさすがにこれを年中無休でやるのは辛い。
「このあとは……ンコヒーさんのお宅と、最期にヤムリ君のお宅で訪問は終わりです」
学校で習った労働基準法は存在しないのかしら?
このままでは家に帰れない教員の二の舞になることは、間違いなさそう。
二人しか通れないような路地をまっすぐすすみ、四つ角を曲がってまっすぐ。
奏人の大変さにげっそりしていると、周囲とは違う民族衣装の女性が数人。
日本でもよく見かける井戸端会議中の奥様方だ。
この手の連中はドラマでよくみたけどロクなイメージがない。
なるべく話しかけられないようにアリアとアイコンタクトで頷き通り過ぎようとしたんだけど、やっぱり有名人と一緒では声をかけられるのは避けられないみたい。
「アリア様ぁ、隣の人がパートナーなんですの?」
「なんかいつもと違う演奏で凄い音色に聴かれたけど、へぇぇあなたが噂の転移されてきた奏人なのねぇ……。」
と、意味深なニュアンス。
あたしを上から下まで舐めるような視線。
逆に奥様方は全員小綺麗な民族衣装。
そして、気がつけばあたしとアリアはこの奥様方に囲まれ胡乱な視線に包まれる。
「異世界からきたカノン様でしたっけ?」
と、誰可からはじまり、異世界のどんなところにお住まいでしたの? ピアノは誰に教わったのかしら?
ご両親は? と、身の周りの事をあれこれ訊かれ……。
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