注がれる視線

魔王城へ向かう道すがら、大通りをまばらに歩く島民の視線が注がれているのがわかる。

 

 当然、視線の的は奏人のアリアなのだが、その視線は同時にあたしへと注いでいるのが痛いほどわかる。


 

 耳をすませば、 『アリアちゃんが奏人を辞めるって本当か!?』


『いや、違うぞ!異世界から来た奏人がアリアを負かしたとかなんとか……。』


 『それで引退宣言したって事か?』


 『それも違うらしい……。 なんでも異世界から来た女がめちゃくちゃ凄いらしくてアリアが引退するとかなんとかって、話しだそうだぞ? 』


『俺達のG線もここまでなのか? 』


 『アリアはG線の事嫌がっていたからな』


 『それにしてもどこの馬の骨だよ? そのアリアを負かしたヤツってのは?


(今アリアの隣。歩いてるやつは!』

  話しの中であたしは誰可されている。


 そんな魔法のような現象に声を荒げずにいられなかったんだけど……。


 当のアリアは、それが普通であるかのように。


 「はい。 普通に回復魔法ですけど……。」

  と、目をパチクリさせている。


 「ありがとうね、アリアちゃん。 アリアちゃんの回復魔法にはいつも世話になりっぱなしで、ホントに助かるわぁ」



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