奏人(カナデビト)なにそれ?
こうなってしまったら止まらない。
ピアノの弦が切れるまであたしは演奏を続ける。
…………。
かつて、あたしがこんなに熱くなり我を忘れてピアノを演奏した事はなかった。
いつもだったら、こんな状態に陥ってしまう前にピアノの弦が切れて強制終了のはずなのに、それがないからこそあたしは止める事ができなかった。
……。
「それまでだ!」
没頭していたピアノの演奏。 ピアノと一つになっていたあたしが不協和音によって強制的に引き離される。
人の声。 しわがれているものの太く、雷鳴のように響き全ての音を掻き消す。
テレビでしか観たことのない豊かでお腹まで伸びた立派なヒゲの割に頭がピカーンと光るスキンヘッド。
威風堂々とした振る舞い。
「オヤジだ! 俺たちのアリアが……」
「ハゲが来た! アリア!逃げろ! このままじゃ不味い!」
「G線からはずされるぞ!」
いつからソコにいたのかと疑うその存在感に客席がざわつく。
というか先ほどからG線という単語がチラホラ聞こえるけどG線ってなに?
アリアがG線なの? G線ってなによ!?
「長老様!」
そんな客席でアリアに危機を知らせる声を無視してアリアは、アリア自身も威風堂々とその姿を渦中へと立ち向かう。
よく見ると長老と呼ばれるリバースヘッドの懷に頭のイカれたツアーガイドが居る。
「エールてめぇまたかよ!?」
「懸賞金の次は密告? この裏切り者!」
リバースヘッドの登場に客席が騒がれ、それに同伴するツアーガイド。
アリアの存在といいG線といい、リバースヘッドの長老に同伴するツアーガイド……。
まったく意味がわからない。
「アリアよ、お主はこの島の奏人(カナデビト) であることは知っておるじゃろ?」
「はい……。」
「無論、ワシとお主だけが知ってるお主の事も知っておるじゃろぅな?」
「もちろんです。ワタシがこうしていられるのは奏人であるからです」
「わかっておるならいいぞ、お主には期待しておるからのぅ……」
……。なんだろう、アリアと長老の話し、悪大官や悪徳政治家が弱者を脅す三文茶番な感じがする。
しかも新たな奏人だなんて単語も出てきて一体なんなの? 誰か説明して貰えないかしら?
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