ツアーガイドの悪事
アリアの話しによると、
ここはエーデル島の裏の顔。
ヌードバーという酒場らしい。
薄暗い店内は独特な匂いと物静かな空気。そここそが本当の異世界(大人のための世界)であると、あたしは実感する。
だがアリアに案内されてカウンター席に着くと
背後の丸卓から
「また始末書書かなきゃいけないなんて嫌ぁ~」
という、呻き声が聴こえる。
昼も過ぎた日差しの暖かい外とは違い、薄暗くなっている店内には三脚しかない一脚に先客が出来上がった状態で始末書がどうたらと呻き声をあげてつっぷしていた。
見間違えるはずもないし聞き間違えるはずもない。
魔王城ではぐれてしまったツアーガイドの水野エルだ。
魔王城に案内してもらい、はぐれてしまってからえるがどうしたのかはわからない。
一生懸命あたしを探してくれたのか? それとも早々に見切りをつけたのかはわからない。
だけど、こうしてお酒を飲んで意識を飛ばしているということは、それなりに一生懸命探していたということがうかがえる。
「まぁ、いっか……。 今回も懸賞金をかけて捜索しようしら」
と、呟くような寝言。
このツアーガイドがこのエーデル島をぐちゃぐちゃにかき回した一端が垣間見えた瞬間だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます