アリアに凄く感謝され救世主になってしまったんだけど

アリアはあたしに替え玉をお願いしあたしの演奏に大喜びした。


そして、あたしに何かを頼むのか『アナタに決めたわ!』 と、ここまで連れて来たのはいいけど、この島の現地人を含めてアリアにとって迷惑な存在だと思われている。


 そんなアリアがその場でピタリと立ち止まり背中を見せたまま 「だけど、アナタは違ったわ。 ワタクシにとっての救世主。 アナタの演奏ならお願い出来るかもしれないの、詳しい話しをしたいから中で……。」


 そういいながら踵を返し振り向くとあたしをエスコートするかのような仕草で手を差し出す。


 「ヒョヘッ?」


 声が裏返るような奇声をあげる。


 色のない白過ぎる、傷一つない滑らかでしっとりとした手は同じピアニストとしてわかる。

 

 ピアニストにとって手は商売道具であり命とも言えるもの。


 手を大事にしている事からアリアが、真のピアニスト魂を持つピアニストだというのがわかる。


  アリアに手を引かれ踊り場に上がるとあたしは思わず感情のまま抱きつき言葉にならない感謝の気持ちを言葉にしてここが足場の少ない踊り場だと言う事を忘れてキャッキャウフフと抱き締める。


 遠目にその光景を見ていた船頭さんが、(若いっていいなぁ。ウォッフォッフォ) と、おもっていたかどうかは定かではない。


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