第12話 Epilogue
6月15日です。あと5日。
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アメリカから連絡があったよ。ぎりぎりで隕石を破壊できるかもしれないって。3日後の18日にトライするってさ。ここでも見えるみたいだよ。
「やってくれ! 地球のヒーローになってくれ」
そして私を助けてください……
最近、体の調子がちょっと悪いんだ。食事偏ってるからかな~ 月のアレも来ないから、ちょっと心配。
検査薬用意しとくか。
6月18日、あと2日だ。たった2日
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まだ残っている奴いるよ。もう死んでもいいって人達だね、多分。私は逃げたいのにな~。
今日のお昼に、隕石破壊やるらしい。
もうこれに賭けるしかない。成功を祈ろう。
それに合わせて沖縄から自衛隊がジェット機で東京まで来るらしい。
ブルーなんとかって言っていた。
通信装置もらったんだ。話ができるらしいよ。
そう。別件だけど検査したの。妊娠の。
ヒットしちゃった。ポジティブでした~。
やったぜ陽翔!
今の状況はネガティブだけどね。
隕石破壊できたらいいな。
よし屋上で見守るか!
***
なんか、昼間なのに止まっている流れ星が見える。尾を引いてるよ。
たぶん、あれが隕石だね。
よく見ると動いているからね。
みんな、一緒に見ようね!
日本には私しかいないけど。
がんばれアメリカ! 隕石壊せ―。
通信装置から何か聞こえてきた。
「不破さん、聞こえますか、どうぞ」
「聞こえますよー」
「こちら、自衛隊機。陽翔さんも乗っています」
「ヒナー、元気かー」
「おー、はるとー。元気だよー、ビッグニュースがあるよー」
「なんだー」
「赤ちゃんできちゃったぜ! 陽翔のだよ」
「マジかー。このタイミングで」
「二人で今日の成功祈ろうよ」
「オーケー」
「不破さん、NASAによると12時ちょうど、あと十分ほどで爆破処理が行われるそうです。我々もちょうどその頃東京上空に差し掛かります」
「ラジャー! ラジャー! 了解しましたー、どうぞ」
ヒナはビルの屋上で大足を拡げて、すっくと立って、手を腰にあて上空を見上げた。
スマホを見る。
11:59 あと1分
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数字はこんなもんだろ。まだ2日あるし。
12:00の時報が鳴った。
上空で隕石が爆発して散った。
そう、隕石が爆発して、散ったんだ。すごい。
NASAの隕石破壊作戦は成功したらしい。
四方に広がる花火の光が美しい残像を残していった。
通信機から声が聞こえる。
「不破さん、成功したようです。隕石落下は阻止できましたよ!」
通信機からは機内でバカ騒ぎする陽翔達の声も聞こえてきた。
ヒナは弾けた。
真昼の花火を見ながら一人で飛び跳ねた。
「やったー、やったー、よくやったー!」
まだまだ一人で飛び跳ねる。
「やったー、やったー、助かったー!」
自衛隊機がカラフルな煙幕を出した。
ブルーインパルスだ。
いまや東京上空はお祭り騒ぎのショーと化した。
「陽翔ー、きれいだよー 写真撮っておくね!」
通信機から
「そうだ、ヒナっ、スマホの数字は?」
あ、そっか。確認しなくちゃ。
- 0 -
- 0 -
- 0 -
何度見ても0だ。
「はるとー! やったよー ゼロだ、ゼロだ! PV0だ。ばんざーい」
「やったなー、ヒナ! おまえのおかげだよ」
「違うよ、NASAのおかげだよ!」
ひなは大泣きして喜んだ。
ひとしきり泣いた後、ふとスマホを見ると写真に文字が出てきた。
なんだろう。メッセージかな?
『おばあちゃん……』
は? おばあちゃん?
『おばあちゃん、ヒナさん。私はあなたの孫です。50年後からのメッセージです。未来では科学技術が発達して、過去に干渉して災害を回避することができるようになりました。でもまだ難しくて、今回私達ができたのはこの方法だけでした。成功する可能性は低かったけど、見事ヒナさんは私達の意図を汲み取ってくれました。ありがとうございます」
ん、未来? よくわからないけど感謝されてる?
『もう、この後はしばらく大きな災害はありません。ヒナさんのスマホへの数字はこれで終わりにします。本当にありがとうございました」
やった。これで数字の悪夢から解放されるぜ。
私の孫ちゃん、やるじゃん。
ヒナは屋上から日本中に向かって吠えた。
「みんなー、戻っておいでー、もう大丈夫だよー!」
ヒナの手にかざされたスマホに、さっき撮った写真が表示されている。
ヒナは見ていない。
下に数字が表れた。
確かもう表示されないはずだが……
- 0 -
- -1 -
マイナス1?
ヒナは見ていない。
見ていないが最後に陽翔に叫んだ。
「
End
LAST GIRL 🌳三杉令 @misugi2023
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