第4話 苛立つ令嬢 ユリア・メリーチ
私が屋敷に着くと、門でヨハンさんが私を待っている。すぐにユリアのところへ向かうよう言わたので急いで向かう。私は彼女の制止を無視してたので、気が気でない。
「ただいま戻りました」
「楽しんできたかしら。私は待つよう言ったわよね。どうして無視したのかしらね」
「時間が迫っていたもので。お話ししたと思いますが」
「少しくらい待っていても、よかったんじゃないかしら? ところで、お友達のお名前は何というのかしら?」
「ローレンスと……です」
「今、と、言ったけど聞き違いかしら。お友達は本当に一人なの?」
「えぇ、はい」
「まぁ、あなたは嘘をいうような人間ではないわね。それでは始めるわよ」
クリスティーナの名を出すのを私は、直感的に躊躇ってしまう。その後、彼女は百発以上今朝と同じ威力の魔法を打ち込んでくるが、私の体は魔法を全てを打ち消す。本来なら、夕食時まで続くレッスンなのだが、彼女は打ち切ってしまう。
「アナタは一体何をしたのよ。あんなに昨日まで効いていたのに絶対おかしいわ。あなた、こっそりと魔法でも習ってるんじゃ無いでしょうね?」
「そんなこと致していません。本当に分からないんです」
「そう、もう今日はこれでおわりましょう。明日の朝、来なさい」
彼女は大変苛立っている。彼女が眉間に皺をよせる表情なんて、私は見たことはない。彼女は、いつも顔色を変えず常に余裕のある表情をしている。
結局、朝も結果は同じだった。私は彼女を門で待っていると、守衛兵に彼女が先に学院に向かったと告げられた。
昼食時間である。いつものように三人で、私は食堂で会話を交えながら食事を楽しんでいる。周り生徒たちも各々そうしている。
「昨日は本当にありがとう。興奮してなかなか寝付けなかったよ。寝付くまで、このペンダントを眺めていたよ」
「それは良かったよ。寝不足は大丈夫かい?」
「それが、とても快調だよ。眠りが深かったのかな? 目覚めも良かったよ」
「喜んでもらえて良かったわ。もし、それで寝不足になったなんて聞いたら、なんか複雑な気持ちになるわよね? ローレンス」
「たとえ寝不足になっても構わないさ。喜びで寝られないんだからね」
「もう、アンドゥーったら」
「僕たちを心配させないでくれよ」
私たちは互いの顔を見合わせながら笑い合う。私は服の中のペンダントを出して二人に見せる。
「二人の予定が許すのであれば、また今度一緒にどうかな?」
「もちろんさ」
「喜んで」
今までの雑音が嘘のように、急に周りが静かになる。私たちは、どうしたのかと顔を見合わせる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます