愛してる

二人の幸せ

私は、パソコンに文字を打ち込み終わると隣に置いてあったコーヒーに手をつける。

「終わったの?」

そう言って、君はあの頃と同じ笑みを浮かべる。

「終わったよ。ごめんね。長くなって。」

「いいよ、全然。」

君はそういって、優しく笑う。

「相変わらず、熱中すると、周りが見えなくなるところ変わらないよね。」

彼女は、あの頃のように優しい笑みを浮かべる。その隣では、少し目つきの悪い男が眠っている。その視線に気づいたのか、彼女は彼を見ながら、呟く。

「昨日、徹夜だったみたい。ゆっくり寝かせてあげて。」

「徹夜でも、唯とは、離れたくないんだろうね。矢島のやつ。」

「えっ?」

私は、二人の手元を指さす。そこには、恋人繋きをした手がみえる。

唯は幸せそうな笑みを浮かべた。

「そういえば、凜。話は、書けた?」

「うん。書けたよ。」

「それは、良かった。協力したかいがあった。」

「凜、俺のことは無視?」

私と唯が話していると、さっきまで黙っていた彼が、少し寂しそうにしながら笑う。

「ごめんね。朔。そろそろ行こっか。」

私は、そういって、席を立つ。

「やっと、邪魔者が消えるな。」

矢島はそう言って、上体を起こした。こいつ、私が二人の仲を取り持ったこと絶対に、忘れてる。あの日、わざわざ唯が委員会で遅くなること伝えて、告白できるようにセッテイングしたの、私なんだけど。

「えっ、ちょっと蓮。いつから起きてたの。それに邪魔者って言い方はないよ?」

「ん?ずっとだけど。それに、事実だろ?俺は二人でいたかったのに。」

「なっ、別に後で2人でゆっくりできるじゃん。」

唯の頬が真っ赤に染まる。

「まぁ、そうだな。」

矢島が嬉しそうに顔を綻ばせる。

ふっ、単純なヤツ。

私は、そう思いながら2人を見る。幸せそうに話している二人を見て、さっき湧いた怒りは消えた。二人が幸せならいっか。そう思って2人に声をかける。

「またね。唯、矢島。」

「またね、野原さん、蓮。」

「またね。」

「またな。」

私達はそうして二人に別れを告げて、

カフェを後にした。

「いや、あの二人は相変わずだったね。」

朔はそう言いながら幸せそうに、笑う。

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