想いを乗せて

決意と現実

「瞬、おっはよー。」

私は、いつものように瞬に抱き着く。

「うわっ。おはよう、凜。」

「ん?瞬、何か言いたげな顔をしてるけど、何か、なんか、私の顔についてる?」

「いや、そうじゃないけどさ、こういうのやめろよな。」

瞬は言いずらそうに、口を開く。

「なんで?」

「誤解とか、されるだろ。」

「えっ、そんなの言いたい奴には、言わせとけって言ってたじゃん。」

「いや、そうだけどさ、とりあえず、やめろよな。」

瞬はそう言うと一人で先に行ってしまった。

「何?今の。」


「……ってことが、あったんだけどね、どう思う?唯。」

私は、学校に着くなり、 親友の唯に聞く。

「それってさ、凜ちゃん。勝くんに好きな人ができたってことなんじゃないかな。」

「好きな人、私、どうしたら⋯⋯」

「ねぇ、凜ちゃんは、瞬くんのこと好きなんでしよ?誰かに取られて良いの?」

「だったら、覚悟そろそろ決めたら?幼なじみって関係にいつまでも甘えてたら、手遅れになっちゃうと私は思うよ。」

唯はそう言って、私を真っすぐ見つめる。

「私、頑張る。明後日、瞬に想い伝えてくる。」

「応援してる。後悔だけはしないようにね。」

「うん。」


そう宣言した日から、あっという間に日々は過ぎていき、ついにその日がやってきた。

「……緊張する。」

「ついに今日だね。頑張ってね。」

「うん!明日ね。」

お互い別れの挨拶をすると、唯は、矢島の元に、私は、瞬の教室に向かった。私も、いつかあの二人みたいなカレカノになりたいなと思っている間に、ついに瞬の教室に到着してし

まった。私は、緊張しながらも、意を決して、教室に入ろうとした。

でも、入れなかった。だって、教室で男女が向かい合って、話していたから。しかも、男子の方は、私が会いたかった人だ。嫌な予感がする。胸がざわざわした。

「好きなの、瞬のことが。」

女の子がそう言うと同時に、瞬が彼女を抱きしめる。

「俺も好きだ。」

手放さないように強く彼女を抱きしめていたその顔は、今までみたどの瞬間よりも幸せな顔だった。

それを見た瞬間、気づいたら足が動いていた。

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