第14.3話

―――――――――

『ねえ』

『島野くん』

(手招きをする黒猫のスタンプ)


『どうしたの?』


『なんとなく話したかった』


『いいよ』

『何話す?』


『うーん』

『思いつかない』


『なにそれ』

『僕もあんまり思いつかないな』


『あ』

らちが明かないって言葉あるじゃん』

『あの埒って何なんだろうね』


『唐突だね』

『埒が明かないって何も進まないって意味だったよね』

『知らないなぁ』


『物事、とか?』

『あとは問題とか』

『明かないなら塞がってそう』


『うーん』

『蓋とか?』


『じゃあ明かないじゃなくて開かないじゃない?』


『それな』


『島野くんってそれなとか言うタイプだったんだ』


『どんなふうに思ってるの?』

『僕のこと』


(黒猫が伸びをするスタンプ)


(『?』を浮かべる黒猫のスタンプ)

『まあいいけど』


『調べたんだけど』


『調べちゃったんだ』


『馬場の柵らしい』

(『ヒヒーン』とリアリティ溢れる黒い馬が前足を上げるスタンプ)


『馬場?』

『牧場のこと?』


『うん』

『あとは物事の区切りだって』


『絶対そっちじゃん』

『物事がうまくいかないって意味だったらしっくりくる』


『埒が明いたね』


『うまいね』

『にしても急になんでその言葉?』


『島野くんとの話題探しに埒が明かなかったから』


『ははは……』

(『トホホ……』とホトトギスが羽で顔を覆うスタンプ)


『あ』

『じゃあ不埒ってどういう語源なんだろう』

『馬場の柵じゃないってこと?』


『放牧じゃん』


『うまいね』

(『ヒヒーン』とリアリティ溢れる黒い馬が前足を上げるスタンプ)

―――――――――

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