第16.2話
―――一方、二人が手段を見つける少し前。
「このジェラートおいしい」
「だな、並んだ甲斐があった」
「はぁ、でも今の列を見てると、さっきのでマシなんだったなってわかるよ」
光里は軒先にずらりと並んだ人の列を見てため息をつく。
「あとで二人にも買うよう言いたかったけど、あの調子だったら無理そうだね、みっちゃ……」
「ねえ、ちょっと暑いからお土産屋さん入らない?」
「早くね?」
「日よけのためだから」
「すでに焼けてるからよくね」
「うわ、女子によくそんなこと言うなあ」
「だってお前はもう無理だろ」
「それ以外にも汗かくからっていうのもあるんです。あと、髪の毛蒸れるし」
「それはそうか。大間さんもそれでいい?」
真心は急に向けられた会話の矢印に戸惑う。数時間ぶり、今日二度目の体験だ。
「え、いいよ。入ろう」
「よし」
「おい、走ると危ないぞ!」
光里が走り出したのを見て、泰河は慌てて追いかける。それを追いかける、というより偶然同じ方向に向かう予定だったかのように真心は歩き出した。
「……あれ」
とっくに二人の背中が見えなくなった真心は、横断歩道を渡った先で見覚えのある人影を見つけた。
「雪ちゃん?」
「あれ、真心だ。やっほー」
雪は手を振り、肩に掛けていたカバンを降ろす。
「やっほー」
「真心がこういうところにいるのって珍しくない?」
「うん、そうかも」
「……もしかして、泰河たちと来てたりする?」
「……知ってたの?」
「ううん。白兎海岸駅でパンフレットを取るところを見かけてね。最近仲良く話してるところ見てたから、もしかしたらって思って」
「そんなに話してないけど。皆で来てる。あと二人、駅で足止めされてるらしいけど」
「あ、あの人身事故のやつか。大丈夫そうなの?」
「多分。雪ちゃんは他の子と来てるの?」
「うん。誘われて」
「そうなんだ」
「あれ、そういえばその泰河くんたちは?」
「……あ」
真心はお土産屋の建物を見る。もちろん、入り口にはいなさそうだ。
「探してくる。じゃあ、またね」
「うん。またね」
雪に手を振られ、真心は小走りでお土産屋に入る。
「これ、よくない?」
「なんでだよ」
真心は店の奥に、カエルの帽子を被った光里とそれに文句を言う泰河の姿を見つけた。
(二人とも、仲いいな。光里ちゃんかわいい……ん?)
二人のところに合流しようとしたところ、ポケットの中に入れていたスマホが鳴った。
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