第1.2話
「なあ、お前やっぱり今日なんかあっただろ」
二人でオンライン格闘ゲームをしていると、通話先の友人から唐突にその話題を切り出された。
「まあ、なかったと言えば嘘になるけど」
「別に言いたくなければいいけど」
「じゃあなんで聞いたんだよ」
「気になったから」
「それは言って欲しいのアピールでいい?」
「まあ、うん」
「なんだそりゃ」
くろころの秘密を守り切るのに夢中で、格闘ゲームの中のキャラクターは常に劣勢だ。
「よしっ」
「うわ、それ当たり判定おかしいだろ」
「ふふん……って、やばっ」
「よっしゃ」
なんとか体勢を整えて、カウンターから不利状況を打破した。でも。
「……」
ハメ技でノックアウトされた。
「お前、マジでやばいぞ」
「たまにやりたくなるじゃん?」
ポコン、とチャットが来る。
「はぁ……お、他の連中もくるってさ」
「僕の所にも来た。じゃあいつもので待つか」
「そうだな。あいつらも格ゲーしたらいいんだけどな」
「それずっと言ってない?」
通話越しで友人が笑う声が聞こえ、思わずこちらも口角が上がる。
ポコン、と新たなメッセージが通知され、僕は格ゲーのソフトを修了した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます