第24話

突然現れたナリア商務大臣。

商務大臣の思惑は明確だ。これだけの事業に絡んでおくことが自身にとって有益だからである。商務省の力を借りなくても正直いってこの事業は問題なく進めることが出来る。

その為、ロイは商務省を今回の計画には含んでいなかった。

しかし、ナリア商務大臣としては面白くない。今回の農業用水路・ため池の建設事業はかつてないほどの規模である。そんな事業に関わったものは後世にまで影響を及ぼす。

それだけの価値をナリア商務大臣としては見過ごせなかったのだ。


ナリア商務大臣を含む6大臣での会合となり、その後少し計画の話をしてこの会はお開きになった。

そして会議室に残っているのはロイとカイルの2人である。


「まさかナリア商務大臣が首を突っ込んでくるとは…」


カイルが口を開く。


「まぁ、蚊帳の外で見ているのができないのでしょう。力を貸して頂けるのであればいいのです。」


「まぁ、そうか。そういえば、シーナから手紙が来ていた。シーナもこっちに来るそうだ。」


「お母様が!」


「あぁ、お前も嬉しいだろう。」


「はい!」


ロイは笑顔で言う。

こっちに来てから少し経っており寂しかった。


「そういえば、領地の運営は大丈夫なのですか?ニルス家の人間が誰もいないというのは…」


ロイは領地のことが心配になった。


「あぁ、その事なら心配ない。お前は知らないだろうが、現職の大臣はなかなか領地に帰ることができない。実は内務省の中に領地運営を代行する部署があるのだ。」


「そんな部署が!」


ロイは驚く。


「領地の状況は常に教えてくれる。安心して任せられるのだ。」


「内務省はそんな事までしているのですね。」


「まぁこの部署ができたのも最近のことだ。今の内務大臣が就任してからだな。」


カイルが説明してくれる。


「内務大臣はどんな方なのですか?大臣会議の時、挨拶をしていないのでどの方が内務大臣なのか分からなくて」


「そうか、今の内務大臣はカマル内務大臣。私たちよりも少し年上の男性だ。1度挨拶に行くといい。」


カイルが教えてくれた。

ラップ・フォン・カマル。爵位は侯爵だそうだ。カマル領はマーレ王国の南東部に位置している。王都からも少し離れているそうだ。海に面しているため漁業が盛んらしい。


「わかりました。明日にでも行ってみます。」


「そうか、私は今日会う予定がある。一緒に行くか?」


なんとカイルは今日会う予定があるらしい。

ちょうどいい機会であった。


「それならば私も行きます!」


ロイも一緒に行くことにした。

この内務省訪問ではさらに農業が進むのであった。

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