第12話
会議室を出ると1人の女の子がたっていた。
「ロイ農務大臣、会議お疲れ様でした。」
「君は…」
何とその少女は昨日の謁見の議式で会ったロット大公の娘テレスであった。
「テレス嬢、どうしてここに?」
ロイはテレスに聞いた。
普通、役人でもない人間がこの宰相府にいるはずがないからだ。
「実は昨日、国王陛下に呼び出されまして、農務副大臣に任命されました。」
「えっ、農務副大臣!テレス嬢が!」
ロイは衝撃を受ける。
「農務副大臣としてロイ農務大臣をお支えしろとの事です。私もかなり驚きましたけど、」
「そ、そうなのですね。まぁ決まっていることですし、テレス農務副大臣よろしくお願いします。」
「はい!私の事はテレスと呼び捨てで構いません。役職名が長いので、」
確かに農務副大臣は長い。
「わかったよ、テレスよろしくね!」
こうして初めての部下ができた。
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農務省は新興の行政機関である。
その為、庁舎もないのが現状である。その為、今は宰相府の一室を借りて始動することとなった。
まぁ、今は大臣と副大臣の二人しかいないため不自由は無い。
農務省としてまず取り組むのは干ばつ対策として芋類の生産を主導する事といつまでも宰相府で業務を行う訳にはいかない為、庁舎の建設に動くことだった。
「テレス、まずはこの2つを動き出さないといけないね。」
「そうね、でもまだ私たち二人しかいないから分担するのはどうかしら?」
「確かにそうだね。じゃあ、僕は芋類の生産
主導を、テレスは国土省と協力して庁舎の建設を進めてください。」
「えぇ、わかったわ!」
「ターナ国土大臣は協力を約束してくれているから話は早いと思う!頼んだよ。」
ロイがそう言うとテレスは国土省へ向かった。
部屋に1人残ったロイは自身が進める芋類の生産主導について考える。
「まずはどの芋種類の芋を生産するのかが問題になってくるな。でもこの世界の芋ってじゃがいもしか見たことないし、うーん…あ!そうだあれを使おう!」
ロイはひとつあることを思い出した。
それは自身の持つ万能スキルを使用することだった。
万能スキルは全てのスキルを使用でき、またスキルを作り出すことが出来る。
「万能スキルで野菜検索スキルを作れば、どんな野菜があるのか何処にあるのか調べられるかも」
そう思ったロイは野菜検索スキルを想像する。
すると突然ロイの目の前に野菜検索と書かれたボードが現れた。
「えっ、成功!?したのかな…これは」
実はこの時ロイは初めてスキルを使った。
ちなみにまだ魔法スキルさえ使用していない。
「よし、早速調べてみよう!」
ロイの計画は一気に進むことになる。
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