第11話
宰相府の会議室にはこの国を動かす大臣たちが勢揃いしている。
ロイとカイルが部屋に入ると長いテーブルの両サイドに各大臣が座っている。
宰相はその上座に座っていた。
「ニルス財務大臣、ロイ農務大臣も参られたか、席ついてください。」
宰相に促され席に座る。
カイルは財務大臣である為、宰相にすぐ近い席に新興行政機関であり、一番若く次期当主であるロイ農務大臣は部屋の入口に1番近い下座である。
そしてよくよく見てみると、カイルの向かいにはサリス大公が座っており、どうやら大臣を務めているようだった。
また3人女性もいた。このマーレ王国では爵位の継承に男女は関係ない。各家の当主が決めることになっており、女性当主も多くいる。
「それでは大臣会議をはじめます。まず先日、国王陛下より農務省の設立、それに伴いロイ・フォン・ニルス殿を農務大臣に任命されました。まずこのことを各大臣に報告します。」
「「はっ、」」
宰相の言葉に各大臣が返事をする。
誰も異議を唱えたりしなかったため、昨日のうち知らされていたのだろう。
「農務省の設立はこのマーレ王国で起きている干ばつ対策の解決及びこの国の農業をより発展させていくために行うものである。その為、各大臣におかれては農務大臣への支援をよろしくお願い致します。私からは以上となります。本日の大臣会議は終了解散します。」
宰相からの言葉のみであっさり大臣会議が終わった。
宰相は多忙の為かすぐに部屋を後にし、財務大臣であるカイルなど何人かもすぐに部屋を後にした。この場に残っているのはロイと3人の大臣であった。その3人の大臣の中にはサリス大公もいた。
ロイは1人ずつ挨拶に回ることにした。
3人の大臣もこの場に残っているということはロイに少しは興味があるからだろう。
そしてロイはまず顔をしているサリス大公のもとに行く。
「サリス大公閣下、昨日はありがとうございました。」
「ロイ殿、挨拶ありがとう。私がこの席にいて驚いただろう。私も大臣を務めていてね。外務大臣なんだ。」
「サリス外務大臣ですね。承知しました。」
「ロイ農務大臣、君にこの国の未来が今託されている。外務省も農務省に協力する。共に頑張っていこう」
「ありがとうございます。サリス外務大臣」
サリスへの挨拶は終わった。
そして2人目の大臣に挨拶に行く。
50歳くらいだろうか、白髪まじりのとてもダンディーな男性である。
「初めまして、挨拶よろしいでしょうか?」
ロイが話しかける。
「うむ、大丈夫だ。」
「ありがとうございます。農務大臣のロイ・フォン・ニルスです。」
「国土大臣のネイト・フォン・ターナである。爵位は侯爵。よろしく頼む。」
「ターナ国土大臣ですね。承知しました。」
「宰相からそなたの話は聞いた。そなたの計画実に面白い。国土省はこの国の根幹である、道や土地開発などが担当である。そなたと関わることも多い。農務省には協力を惜しまない。頑張ろう。」
「お言葉ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。」
ターナ国土大臣への挨拶も終わる。
話してみてとても感じのいい大臣であった。
そして最後の大臣のもとへ向かう。
この大臣は女性であった。見た目はとても綺麗だ。
「初めまして、ご挨拶させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「えぇ、いいわ。」
「農務大臣に任命されましたロイ・フォン・ニルスです。よろしくお願いします。」
「カイルの息子、ロイ農務大臣ね。」
この大臣は父であるカイルを呼び捨てする。
「私は商務大臣、レイナ・フォン・ナリア。あなたの家と同じ公爵よ。つまり、ライバルみたいなものでもあるかしら」
この女性はカイルから聞いていたまさかの商務大臣であった。しかもライバル視されている。
「まぁ、今日は挨拶ぐらいにしておきましょうか。また会う日もあるでしょう。では」
ナリア商務大臣はそういうと会議室を出ていった。
もしかしたらカイルとナリア商務大臣には何か過去にあったのかもしれないとロイは思った。
そんなこんなで3人の大臣には挨拶を終えることが出来た。ロイも会議室を出る。
すると外にはロイも顔を知る1人の女の子が外で待っていた。
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