第5話

次の日、ロイはすっきり目覚めた。

いよいよ国王陛下への謁見の日である。

昨日はカイルにあのような話をされ、少し緊張していた。

朝ごはんを食べるため、食堂へと向かう。

食堂では既にカイルが食事を終え、手紙を読んでいた。

カイルは公爵であるが、それと同時に国の要職も務めている。なんと、財務大臣の職を務めているのだ。

その為、公爵としての手紙と財務大臣としての手紙両方が届く。とても忙しい父である。

財務大臣はこのマーレ王国の財政を担当しており、かなりの権力がある立場である。


そんな父、カイルはふとロイの方を見て、話しかけてきた。


「ロイ、おはよう。さぁ、朝食を早く取りなさい。今日は忙しくなるぞ」


「はい、お父様。」


ロイは急いで席に座り、朝食を食べる。

今日朝食はベーコンエッグとパンである。

この世界の料理は前にいた世界とほとんど同じである。野菜や果物といったものもほぼ一緒だった。

ただ、前世のようにすぐ色々な種類の野菜を手に入れられるものでは無い。やはり、前世の世界の中世に近い世界である。


ロイは朝食を食べ終わると急いで貴族服に着替える。この日のために事前に新しく作ったものである。

そしてカイルと共に王城に向けて屋敷を出た。

馬車に乗り、約20分程で王城には着く。


道中、馬車の外を見ていると各貴族屋敷から馬車がでてくる。どうやらどの馬車も目的地は一緒なようだ。

王城へは徐々に近づいていき、あっという間に到着した。

王城を間近で見るととてつもなく大きい。

やはり権威の象徴である。


馬車を降りると案内係が出迎える。


「ニルス公爵閣下、ご子息様ようこそお越しくださいました。ご案内致します。」


「うむ、ご苦労」


カイルが言うと案内役が謁見の間へと案内をしてくれる。


謁見の間に案内され中に入る。


「なんだ、この広さは!」


ロイは思わず声が出てしまう。

謁見の間は正面奥に大きな玉座が置かれ、部屋の広さはサッカーコート1面分位の広さがある。


部屋には多くのテーブル、椅子が用意され、オードブルやドリンクなども準備されており、多くの貴族、その子供たちが談笑をしていた。


ロイはカイルと共に謁見の間を進み、玉座に近いテーブルへと向かう。

なぜならこのような場でもやはり爵位によってテーブルの位置が変わるという。玉座に近い席程爵位の高いものがあつまるテーブルとなり、謁見も下位の貴族より早く行うことができる。


ロイはこのテーブルに向かう際、大勢の視線を感じた。やはり公爵家、財務大臣のカイルへの注目度はかなり高かった。

少し恥ずかしくも感じたが目的のテーブルへたどり着くことが出来た。


しかし、このテーブルには既に先客がいた。

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