第3話

領都サールを出発し、中継地点の観光都市テムスをすぎ、まもなく王都に到着する。


ロイの住むこの国、マーレ王国。

ガルシア大陸の南部に位置している。

人口は全体で約2000万人。

ガルシア大陸の国の中で2番目の規模だ。

王都はカリー。人口約200万人が住む王国1の都市である。ニルス領はこの王都カリーに次ぐ人口を抱えているが、到底及ばない規模の都市である。


「領主様、あと1時間ほどで王都に到着致します。」


馬車の外から騎士が告げる。


「わかった。ロイ、そろそろ王都が見える頃だろう。外を見て見なさい。」


「いよいよですか!」


ロイはそう言うと、急いで外を見る。

するとロイの目の前にとてつもなく大きな都市が見えた。


「何だこの街は!」


ロイはあまりの大きさにびっくりした。

人口200万人が住む街ということもあり、外壁はとてつもなく大きい。そして高層建築物もかなりある。まさに東京のような街であった。


「ロイ、あれがこのマーレ王国の王都カリーだ。驚きだろ、」


「異次元ですね笑」


「まぁ、この国の全てがここに集まる。特別な場所なのだよ。」


そんな会話をしていると、今日王都に着いてからの日程をカイルが話し始めた。


「ロイ、王都に着いてからまず教会へ行く。」


「教会ですか、ということはスキル授与の儀式ですね!」


ロイは嬉しそうに言った。

スキル授与の儀式。

その名の通り、スキルを授かる儀式である。

スキルは1人1つ授かることができる。

スキルはランダムであり、剣のスキルや体術のスキル、魔法のスキル、料理のスキルなど様々である。中でも魔法のスキルは最上位スキルと言われている。なぜならこのスキルがなければ魔法が使えないからだ。


ちなみにカイルは剣のスキル、シーナは回復のスキルである。


ロイたちを乗せた馬車はやがて王都カリーの街に入り、教会へとたどり着いた。

教会は真っ白な大理石出できており、高さはゆうに50メートルはあるだろう。


馬車を降りると司祭が出迎えてくれた。


「これはニルス公爵閣下、よくぞお越しくださいました。本日はご子息ロイ様のスキル授与の儀式と聞いております。」


「ああ、早速であるがよろしく頼む。」


カイルが言うと司祭が案内をしてくれた。


しばらく教会内を歩くと大きな石版が置いてある部屋へと通された。


「ロイ様、只今よりスキル授与の儀式を行います。手を石版へ置いてください。」


ロイは言われるがまま手を石版へ置く。


すると石版が突然輝きだし、石版に文字が浮かぶ。


そこにはロイのスキルが記されていた。


ロイ・フォン・ニルス 12歳


スキル

・魔法のスキル…魔法を使うことができます。


・万能スキル(他の人には見えませんby神より)…この世の全てのスキルをしようできます。また、スキルを作り出すことができます。


「えっ、」


ロイは思わず声が出てしまった。

(なにこれ!ひとつって聞いたてたんだけど、えっ、神よりってなに!)

心の中で考えているとカイルが話しかけてくる。


「おお、ロイは魔法のスキルを授かったのか!これはすごい!」


カイルはとても喜んでいる。

(これってほんとに見えてないのか、万能スキル)

どうやら本当に見えていないみたいだ。

と言うよりもいきなり神という名が出てきて正直かなり混乱している。


そうこうしているうちにスキル授与の儀式の部屋を後にし、王都にあるニルス公爵家の屋敷へと向かうため司祭の案内で馬車へと戻る。

その途中、ロイは司祭に神のことを聞いた。


「司祭殿、神について教え下さい。」


「ロイ様は神にご興味があるのですね。わかりましたお教えしましょう。このマーレ王国はナリヌ教を国教に定めています。ナリヌ教の主神ナリヌ様はこの世界を作ったと言われています。ナリヌ様を祀っている総本山はナリヌ教国にあります。」


「そうなのですね。スキルを頂いたので感謝の気持ちをお伝えしたいのですが、」


「申し訳ありません、教会の主神を祀る部屋には教会関係者以外入ることが許されないのです。」


「そうなのですか...」


ロイが落ち込んでいると司祭がこう教えてくれた。


「ですが、心の中で天に向かって感謝の気持ちをお伝えすることはだれでも出来ますし、どこでもできます。信仰心を忘れず、感謝する。そこが大事なのです。」


司祭の言葉に確かにとロイは思った。


そしてロイは心の中で感謝の気持ちを伝えた。

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