第2話
ロイは部屋を急いで出る。
ロイが住む家は屋敷だ。しかもかなり大きい。
部屋を出ると赤いカーペットの長い廊下が続き、扉も沢山ある。さすが公爵邸である。
ロイの部屋は2階にあり、大きな階段を降り声の聞こえるロビーに向かう。
ロビーにはシーナと父でありニルス公爵であるカイル・フォン・ニルスがいた。
青色の髪でとても高身長だ。さらに顔もかっこいい。
「ロイ、遅いじゃないか。これじゃ謁見に遅れてしまうぞ」
カイルが口を開く。
「すいません、お父様。遅れてしまいまして」
「今日はロイにとって大事な国王陛下への謁見のために王都に出立する日である。遅参など許されないんだぞ」
「お父様すいません。自覚が足りませんでした。」
カイルに言われ、ロイは素直に謝る。
「まぁ、よい。早く向かうぞ」
カイルはこれ以上何も言わなかった。
素直に謝ったのが効いたのだろう。
ロイはカイルの後に続き、外に準備された馬車へと乗り込む。
「ロイ、しっかりとやるのですよ!」
シーナは屋敷でお留守番の為、ロイへ馬車の外から声を掛ける。
「はい!お母様!行ってきます!」
ロイがそう言うと馬車は王都へ向けて出発した。
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馬車は屋敷を出て、ニルス公爵家が治める街サールを進む。この街は領都でありとても活気のある街である。人口はニルス領全体で150万人、その内80万人が領都サールに住んでいる。
ニルス領は広大な領地である。サールは領地の中心に位置し、東西南北に整備された街道があり、それぞれ4つの街に繋がっている。
北には工業都市トマス、南には港湾都市ペイン、西には農業都市ノーマ、東には観光都市テムスが位置している。
この4つの街に囲まれた領都サールは経済・金融・商業都市として機能している。
今ロイの乗る馬車は商業の中心である大通りを進んでいた。左右には商店街が建ち並び、通りには多くの人、荷車、商人が行き交う。
「いつ見てもすごい人だな」
ロイが外を眺めつぶやくとカイルが口を開く。
「だろ、この賑わいになったのもご先祖様から今に至るまで努力してきたからだ。いずれロイがこの領地を継ぐことになるからな。今のうちにしっかりと勉強しておくんだぞ!」
「わかりました、お父様」
そんな話をしていると領都サールの街を出た。
これから観光都市テムスを経由して王都へ向かうこととなる。
観光都市テムスは2日の距離。王都はそこから1日の距離だ。
ロイたちを乗せた馬車は順調に王都へ進むのであった。
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