第2話 姉妹side

風香視点


 私の一つ下の幼馴染のハルは、とても可愛い。男の子なのに、女の子よりもずっと可愛い。女の子のような容姿に白髪紅眼。所謂アルビノってやつね。

 

 もう高校生なのに見た目だけなら、小学校高学年くらい。言動もかなり幼い感じよ。けれど高校生として見ても、かなり頭は良い方ね。だから自分の見た目や言動が、他の同年代の人達と違う事を理解している。

 

 その為、ハルは友達が非常に少ない。皆無と言ってもいい。同年代から上は、自分を保護対象のようにしか見てくれない。それに見た目年齢が幼い為に、周りからも浮いて見えてしまう。そして、見た目年齢の層程度になると、ハル本人が違和感を感じるそうよ。精神年齢というか、実年齢が違い過ぎるのね。


 私は、ずっとハルを見てきた。そして私が落ち込んだり、泣いたりしている時は慰めてくれる。心配してくれる。守ってくれる。だから私もハルを守ってあげたいと思った。


 あぁ、また泣きそうになってる。私はそっと後ろからハルを抱きしめる。私はずっとハルを見てるからね。





 



亜耶視点


 私は生まれた時から、ずっとハルちゃんと一緒だった。一緒に育ってきた。けれどハルちゃんは、私ともふう姉とも違った。最初は男の子だからかなって思ってた。でもそれも違った。


 小学校に入って、他の男の子も増えた。けれどやっぱりハルちゃんは他の子と違った。白い髪だとか、紅い瞳だとかそう言う見た目の話じゃなくて、ハルちゃんは中身が他の人と全然違ったの。


 子どもっていうのは、無邪気で残酷だから、容姿が他の人とは違うハルちゃんは、よく仲間外れにされていた。その度、ふう姉や私が庇って怒るんだけど、ハルちゃんはちっとも気にしてない。自分が他の人と違うことをちゃんと理解して、ちゃんと納得していたんだ。ハルちゃんが怒ったり、泣いたりするのは、いつだって他の人の為。だからこそかな、いつしかみんなハルちゃんを認めていった。


 けれど、時が経つにつれ、さらに同年代の人たちは、どんどん大きくなっていくのに、ハルちゃんだけは全然変わらなくて。結果、中学を卒業する頃には、みんながハルちゃんの事、友達というより、弟妹というか保護の対象として見ていた。それは私も、ふう姉も同じだったと思う。


 そんなときYour Own Adventureのβテスターに当選して、ゲームをプレイしてみて、これだ!と思った。ゲームの住人には、見た目と中身が乖離している種族も山程いて、ほとんどの人がそれを受け入れていた。ここなら!!ここなら、ハルちゃんも友達作れるかも知れない!!そう思ったらもう、止まれなかった。ハルちゃんには内緒だけれど、パパとママに私が見たもの、感じたことを伝えて、ハルちゃんの為にって何度も何度もお願いをした。パパとママも最終的には賛成してくれて、ハルちゃんのご両親も巻き込んで、誕生日プレゼントとして準備した。


 恥ずかしくて直接ハルちゃんには言えないから、そう心の中でたくさん友達できるといいねって思いながら、私は背中に隠した紙袋から、VRギアを取り出した。






 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る