第10話 獣たちへ

 「正解した 16歳 レベル1 殺人1人の吉田ツヨシ君には冥土の土産にキラ☆キラについて教えてあげよう。」

 …メイドノミヤゲってなんだけ。頭が理解できない。少年が説明している言葉そのものが右から左へと流れていく。



 「冒険者殺しの殺し屋、プレイヤーキラー×キラー 略称‘キラ☆キラ’って呼ばれているみたいだけど、俺はこの略称を広めた奴を見つけてぶん殴ってやりたいね。特にこの真ん中に☆を入れるセンス…ぶん殴ってやりたいね。気に入らね~絶対侮られるでしょこんなの。

 あっ、それとさっき俺になんの権限があってってほざいてただろう? だけど‘キラ☆キラ’にはあるんだよ。政府公認のマダーライセンスがな。だから俺にはあの3人を殺す権利もあるし、お前を殺す権利もあるんだよ。理解したか? 吉田 ツヨシ君。」


 「マダーライセンスって…殺人許可証? この法治国家にそんなものが…う、うそだ…。」


 「政府公認といっても‘キラ☆キラ’は国の犬って訳じゃない。むしろ国に縛られない自由な権限を持った組織…っとまぁこの話はここまでにしよう。もうお前には十分に生きる時間を与えたし、苦痛も与えた。もう死んでもいい頃合いだ。」


 はぁはぁ…こ、殺される。とうとう僕が殺されるんだ…嫌だ。いやだいやだいやだ~~~~~~


 「なんでだよ! 俺なんて1人しか殺してないんだぞ! ハヤトは5人、コウジは9人、アキラなんて25人も殺しているんだろう! あいつらは死んで当然の人間のクズだけど、俺はたった1回魔が差してしょんべん臭いガキを殺しただけなのに、なんであんなクズたちと同じ扱いなんだよ。まだ俺には更生の余地があるだろう~~16歳なんだぞ、輝かしい未来があるんだろうがよ~。」


 「お前が快楽で殺したまひろは俺の血が繋がっていない妹だ。」

 「へっ?」


 「両親が居なかった俺たちは同じ施設で、小さいころから一緒に育った妹同然だったんだよ。それをお前は欲望の為だけに彼女の尊厳を踏みにじり、殺した。」

 「し、知らなかったんだ…悪気はないんだ。お、俺にも妹がいるんだ! 帰りを待っている両親だって…だ、だからた、助けて…。」


 「もう黙れ。お前達人間の皮を被った獣の言葉は聞こえないね。」

 少年はそういうと僕の方に指を向けてパチンと鳴らす。


 「い、いやだ~たすけごぼごぼごぼごぼがっ」

 急に喉から水が這い上がってきて声はもちろん呼吸も阻害する。い、息が出来ない。はぁはぁ、ぐ、ぐるぢいいいいいだずげで…だずげでええええええごぼごぼ


「お前を殺すにはたった1杯の水だけでいい。苦しんであがけ! 死を迎えるその時まで苦しんで懺悔しろ!」


 ぼぐの目の前で何かを告げる少年の言葉はもう聞こえない。苦しくて転げまわり這いずりまわるも水は喉に止まり続けて息が出来ない。

 どんなに抗っても息が出来ない。段々と延々にこの苦しみを味わっているような気がしてきた…そしてそのうち、意識も遠く…苦しみも…感じなく…何も感じ…



 「獣達は来世も輪廻の外れで苦しみ続けるがいい!」

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