俺のビックサムをメインヒロインに見せつけたら、一目惚れしました。

14.ブラコンシスター、特攻の乱

「で、蘭華ちゃん。聞きたかったのですが、お二人は、あの乱馬さんとあのスキンヘッド二人とはどういう関係なのですか？」

「あの人たちはお父さん達です」

「え、どうして！　なんで二人の両親は二人とも男性なの？」

「ストレートに人の過去の話を聞いてきますね。庵さんって、そんなキャラでしたっけ……」

おにいたちの誤解が解けた後、蘭華は、庵さんには、部屋に呼ばれ、おにいとの過去を問いただされていた。

庵さん、本当に女子会以降私に対してだけは、自分の感情を隠すことは、ないのですが、まだ蘭華は少し怖いです。

「えー、私は、前からこうですよ。気になる人がいれば、事前に情報を仕入れておく当たり前だと思いますが、それに、ああ、今日の乱馬さん、変態でしたが。ああ、どうやって……堕としましょうか」

「それ、直接おにいに言ってあげれば喜ぶのに」

庵さんの堕とすは、きっと蘭華が考えるよりもエグイ意味での堕とす。

蘭華は、庵さんの本性が、狂気的な加虐性癖のような物だと推測している。

そして、庵さんも蘭華に自分の本性がバレていると考えているのだろう。私の前で出す表情が、メンヘラを三倍濃縮したような表情をする。

「それは無理ですね。相手を精神的に屈服させ自分の手札にするのが私の愛です。誉め言葉という手札は、まだ使うときじゃないですよ」

「えっと、その手札（本性）をおにいの妹である蘭華に見せていいのですか？　蘭華がおにいに言いふらす可能性も……」

「大丈夫ですよ。蘭華ちゃんはとても賢いのでそんなことを乱馬さんに言って手に入るメリットなんて、ほとんどないじゃないですか。だからこうやって、素で話せるんです」

「まあ、確かに現段階では、それに本当におにいを屈服させるなら、先に私を屈服させるでしょうし、その間、おにいに危害は加わらないですが」

うーん。

ここまで、メンヘラヤバイ人ムーブをしている庵さんですが……もしかして。

「もしかして、庵さんって普通に好きな人の過去は気になるし、コイバナもしたいだけですか？　普通に恋愛的におにいが好きなんですか。それなら、あの人たちとの過去を話します」

「えっと、それは、私が乱馬さんをですか？」

「はい、いや、ぶっちゃけ、庵さんは、おにいのこと好きでしょう」

「……」

庵さんは、一瞬、顔が硬直する。

難しく考えるような顔をしたり、いつもみたいに本音を隠すときの笑顔をしたり、本性でちょっとやばい目をしたり、そして信号機の様にいろいろ考えた結果、顔が真っ赤になる。

「え、えっと……言いませんか？」

「ブラコンの名に誓って、兄の恋路は、邪魔しない所存です」

「ほ、本当ですか？」

「本当です」

「………………………………すきです。よ」

「……」

「ぴゃ！　ら、蘭華ちゃん」

な、なんなんだこの可愛い生き物は！

さっきまで、自分の本性を見せ気丈にふるまっていただけで普通に恋する乙女の顔じゃないですか！　ふぁ！　いや、これ自体が蘭華を油断させる罠の可能性も。

蘭華は、初めてあった時の様にさりげなく庵さんの手を触る。

汗や動悸、心拍数は……ああ、こりゃ本気で緊張してる。

「えっと、ちなみに、おにいの好きな所って」

「え、えっと……本音で私に気持ちを伝える素直な所。自分の容姿を理解したうえで、それをちゃんと利用するのに悪用することが無い所。裸が好きな変態なのに、私の誘惑をしっかりと断る信念がある所。心を折りたいとしか思っていなかったのに、気が付くと目で追ってまして。でも、自分の中には、彼を壊したいって言う自分もいるんです。けど彼は壊したくないんです。だから私……本当は……普通の恋愛がしたいのに……我慢ができないから……友人以上になる気はなくて……」

分かった。

庵さんは、元からの加虐体質があり、おにいとの普通の恋愛を諦めようとしている。

理性では、自分がやろうとしていることが悪いことと理解したうえで、欲望と理性がバランスが取れなくなってこんなに歪に……。

ただ、誘惑って何？

決めた。蘭華は、庵さんとおにいに普通の恋愛をして欲しい。

「蘭華……決めた。庵さんとおにいには、普通の恋愛をしてほしい。そのためなら庵さんを蘭華は、手伝うよ」

「ら、蘭華ちゃんでも私……」

「庵さんの悪癖が出そうになったら私、庵さんをちゃんと説教する。だから！　ね！　庵さんはあきらめなくていいんです」

「ら、蘭華ちゃん」

庵さんは、目に涙をためる。

握った手で分かるこれは演技でないことを、だから蘭華は……。

「では、作戦会議をしましょう」

「うん！」

そう二人で手を握った瞬間だった。

どたどたと大きい足音でリリアンさんの叫び声が聞こえ、庵さんの部屋の扉を開ける。

「おいやべえ！　へ、変態が……って、あれ、これはお取込み中だったか……いや、そういうのも……ああ、きっと主は認めてくれ……」

「「違います！」」

全力で否定するとリリアンさんは気圧され、テナントも言えない表情で本題を話し出す。

「へ、変態が刹那を拉致ったぞ！」

「！？」

「んなバカな！　おにいに限って！」

「いや、まじで、これ見てくれ」

ああ、突然の意味の分からない出来事に庵さんが変な顔になって使い物にならなくなっている。

私は使い物にならない庵さんの代わりにリリアンさんから手渡された置手紙を読む。

『本日、夜0時より、刹那さんを欲望まみれの公開恥辱ショーへご招待いたしました。刹那さんの恥辱ショー飲みたい変態どもは、上記時間までに学校裏、藻狐狸山（もっこりやま）公園に集まるように。来ない場合は……わかっているだろう！　ふーはははは』

「おにいのバカあぁぁぁぁぁ！」

いや、おにい、マジで何をやってるの！

蘭華たちは、慌てて藻狐狸山公園まで、良二さんを連れ、慌てて向かったのであった