10.ビックサム、地獄の使者スパイダあぁぁぁぁぁぁ……

「うむ試作45号パパラッチ、カメラを小型化して、動画送信範囲を大きく伸ばしたが今度は画質がな……。それに費用も馬鹿にならないな、ランはどう思う?」


「そうですね。小型で高性能だと中々見つかりませんしね。安価に揃えるなら良二さんの言う通り、これが最大スペックですよ」


 休日の昼、俺は、良二さんと良二さんの部屋で盗撮用のスパイカメラの開発を行っていた。

刹那さんとの話を聞いた後、俺は、あまり交友のなかった良二さんを知るために部屋にお邪魔すると中には、撮影機材の山。

被写体をより美しくどこでも取れるように試行錯誤する良二さんと、最高の被写体を自称する俺は、意気投合し今に至る。


「うーむ……そうだラン、試作19号フランスと組み合わせるのはどうだ?」


「フランスは、カメラ重視ですよ? そんな二つを合わせたら、露骨にカメラが大き

くなってしまうのでは?」


「しかしこの二つを合わせれば最強なんだよ! どうにか隠密性さえクリアできれば!」


「そうですよね……」


今、俺と良二さんで作成しているスパイカメラ、試作45号パパラッチは、超小型のカメラを自走させるカメラ。ローアングル限定になるが、その分小さくネズミの形をしていて義体はできている。

それに対して、試作19号フランスは、壁や窓を自動で探知し上ることができるが、機械がゴテゴテすぎる自動掃除機のような形のカメラ。


「いやしかし……それならシンプルに自動掃除機にこうやって……」


「おお、そうすれば違和感がない!」


「良二さん乗ってきました! 俺脱ぎますがいいですよね!」


「ああもちろん! 俺も熱くなってきた! 脱ぐ!」


こうして俺たちは、日曜のの貴重な一日を使い時間は過ぎていく。

そして、時計が一周し、夜の7時ごろ。


「で、できた! やった! やったよ良二さん!」


「うむ……感慨深いな。試作4519フランスパパラッチjrが!」


わが寮で使われているルンバを拝借し改造、浴室に仕掛けた高性能カメラを改造ルンバが受信し、データをパソコンに流す中継システムを利用したことにより、違和感なく高性能なデータを手に入れることができる画期的なものであった。


「では、さっそく」


「レッツゴー! 行け! 俺達のフランスパパラッチjr」


そうして、フランスパパラッチjrは、カメラの仕掛けた浴室近くまで軽快な走りを見せる。直線とコーナーを正確に走り浴室にたどり着くと、カメラが起動し、浴室を映し出す。


『ふんふーん、いやー、礼拝後の熱々シャワーは格別だぜ』

そこに映し出されたのは、礼拝を終え、シャワーを浴びるリリアンの裸体であったが、湯気で中々大事なところが見えずにいた。


「ああ、湯気がぁ……湯気が邪魔だよ!」


「いや、ラン、考えてみろ湯気の先に見えるエデンを妄想すると逆にこれは良い!」


「おお、流石良二さん!」


湯気から分からないが、リリアンの体は、小さいながらも女性らしい、体つきに金髪のツインテールをほどき長い金髪がまさに美少女。

見た目は良いのだが、あの暴力はな……、けど、あの男勝りな性格は、そこら辺の女性よりはより美少女である。

そう妄想すると俺の愛刀ビックサムは、元気になっていく。


『さあ、シャワーを切って風呂だー!』


「おお、見え、見えるぞ!」


「ラン、やはり俺達、リョウランに」


「不可能は……」


そしてシャワーが切られ、湯気が消えようとした瞬間、俺のビックサムは、気配を感じる。


「ふーん、不可能が何でしょうか?」


「ふ!」


「な、い、庵君! グエ!」


俺は、危険を風見珍で察知し、突如現れた庵の金的ハリセンを避けるが、良二さん

は、風見珍を習得していないため、庵の金的ハリセンを受けてしまう。


「ちい、やはりゴキブリ並みの素早さですか! 乱馬さん! あと、風見珍はやめてください、妙に動くイチモツがすごく目に入るので」


「に、逃げろ……ラン……ラアァァァァン」


良二さんは、息子を抑え苦しそうにもだえる。良二さんの犠牲は無駄にはしません。


「りょ、良二さん! 恩に着ます!」


「あ、全裸のまま寮の壁から逃げようとするなんて見つかったら捕まりますよ! 社

会的に死にますよ!」


「ふふん! 今や、寮の中で服を着ていたら、明日は槍が降るねと言われる俺だ! 一向にかまわん! 俺は、エロなき世界に涙を流す男スパイダー〇ン! 秘儀、クモ

男式壁渡」


これは、手足とビックサムの五点で体を支え、壁を這う奥義。

今の俺は、まさにクモその物。


「だから下手なパロディは、やめてください!」


「俺は、今まさに地獄からの使者! とう!」


俺は、近くの窓から、室内に侵入するのだが、そこは、先ほどまでまさにフランスパパラッチjrが居た風呂場であった。


「な! お、おいな、なんで、変態が……きゃあぁぁぁぁぁぁ!」


「すまん、事故だ。犯すつもりはないだから存分と俺の美裸体を拝むと良い」


先ほどまで画面越しにあったリリアンの裸体、うむ、確かに画面越しの方が発情でき

るのは、これは中々に理解ができるな。

それにしても、リリアンは、喜びすぎではないか? 俺の裸体はそんなにも美しいなんてああ、これはまさに罪。


「そ・う・い・う・も・ん・だ・い・じゃねえぇぇぇぇ!」


「ふん! 俺の風見珍は攻撃を避け……うお!」


「きゃ!」


俺は、風見珍でリリアンの攻撃をジャンプで避けたのだが足が滑り、浴槽にダイブ。

……うん、この触感は、リリアンの胸か。


「初めて触ったが、うむ、リリアン。鍛えるのは良いが、少しは、カロリーのあるものも食べろよ。育つ素養は、存外あるのにもったいない」


「おい、人の胸……は、初めてもまれたのに……うぅ、ばか……」


リリアンは、こういった時、容赦なく殺しにかかると思っていたが、不利な体勢になり巣が出たのか、なんというか……、ビックサム! 暴走するな! 俺には庵という心に決めた女性が!

乱馬……僕は、もう抑えることが……


「おおい! やめろ! 相棒……AIBOOOOOO!」


瞬間ビックサムから、たんぱく質が放出されてしまう。


「ああ、俺って最低だ」


「きゃ、きゃううん……」


そして、見事ビックサムのダイレクトアタックを食らったリリアンは、気絶してしまう。


「り、リリアンさん悲鳴が!」


「うむこっからだ!」


「乱馬さん! 天誅を!」


そして、悲鳴を聞きつけ、庵と蘭華、刹那さんが風呂場に飛び込んでくる。この状況を見た三人の目は、一瞬で状況を誤解し冷めたものとなる。


「あー、私を好きとか言っていたのは嘘なんですね。フーン。へー。」


「警察だ。警察を呼ぼうか?」


「おにい、最低」


三者三葉の反応に俺はさすがにヤバイと思ってしまう。主に絵ずらが……。


「誤解なんだ許してくれ。メンゴ」


「「「ギルティ!」」」


この後状況を説明、理解してくれたのだが、なぜか理解された後の方が冷たい目で見られた。

なぜだ。正直にすべてを話したのに……。

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