第4話
扉の向こうには本当なら見慣れた部屋があるはずだった。
でもそこに私の部屋はなく、長く続く真っ白な廊下が続いていた。振り向けばドアもなくなっていて、反対側も白い廊下が延々と続いている。
どちらにしても進むしかない、とゆっくりと歩き始める。
左右の壁には美しい花の模様のレリーフが飾られていて、ドアらしきものはまったく見当たらない。ここがどこなのか見当もつかないが、あの『夢』に関係しているのではないかと想像することはできる。今はただ歩くしかなかった。
体感で10分ぐらいは歩いただろうか。行く先にアーチ型のようなものがようやく見えてきた。出口なのか入口なのか分からないが、この美しくも無機質を思わせる場所からようやく抜け出せることに少しホッとしていた。
そういえばフォルはどうしたんだろう。いつもは私の後ろをついて、けっして離れようとしない甘えん坊なのに。そして扉をくぐる時に確かにフォルの鈴の音を聞いたのに。
アーチのようなものは、これもまた美しい天使のレリーフが刻まれた扉だった。
私は一度深呼吸すると、扉を開けようと手をついた。
『候補ナンバー03確認、扉の解除を許可します』
どこからともなく響いた声と共に触れただけの扉が勝手にゆっくりと開いていった。
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