第2話 リリィの思い出

リサはニコっと笑いながら

「ねぇリリィ、聞きたいこととか、知りたいことがあったらなんでも言ってね!」

と嬉しそうな声で言った。

リリィは窓の外を見ながら、

「あの光っている丸いものは何ですか?」

リリィの目線の先には満月が輝いていた。

「あれは月って言うんだよ。お月様、ずっと私たちを見守ってるんだよ」

「リリィのこともですか?」

リリィはきょとんとした顔で言った

「うん、リリィのことも、私のことも、どこへ行っても見守ってくれるよ・・」

「すごいです!」

リリィは子供のように目を輝かせているように見える

「じゃあ外で見てみようよ」

リリィは目を丸くして

「いいんですか?」

と聞き返す

リサは手首のヘアゴムを髪に結びながら

「うん、お月様も綺麗だけど夜景はもっと綺麗だよ」

「行きます!」

そう言うと、リサとリリィは二人でマンションを出る

リサはタクシーを呼び助手席に座る。リリィはおどおどしながらリサの方を見る

「あっ、リリィは乗り物初めてだったね。」

助手席から降りてリリィの手を取り、一緒に後部座席に座った

「どこまで行きますか?」

タクシーのおばさんが尋ねた

リサは声を震わせながら

「あ、あの丘の上までっ、おっ、お願いします」

「わかりました、では出発しますね」

タクシーのおばさんのやさしい声が響く

リリィはぎゅっとリサの服をつかみながら外を見ている

「お連れのアンドロイドはかなり長い間一緒なんですか?」

「い、いやついさっき起動したばかりで、ボディはお、お金がなくてこれしか買えなかったんです」

リサは変わらず声が震えている

「ご自分で作られたんですか!?」

「はい、そういう仕事に就いているので・・」

タクシーのおばさんはうんうんと頷き

「もう最近はその型のボディはほとんど見なくなって、なんだか懐かしくなりましたよ」

リリィは相変わらず外を見ている

タクシーのおばさんはリリィのことをちらりとみると

「少しゆっくり行きますか?」

リリィは目を輝かせて

「はい!お願いします!!」

タクシーのおばさんはクスッと笑って

「かしこまりました」

と少しゆっくり運転しはじめた

リサはリリィに

「リリィ、良いことをしてもらったらありがとうだよ」

リリィはかしこまって

「ありがとう」

「いえいえ」

タクシーのおばさんはにっこりしてこたえる

「彼女は今、学習中なんですね」

リサはリリィのほうを見ながら

「はい、リリィにはこれから色々教えていくつもりです」

タクシーのおばさんは

「リリィ、良い名前ですね」

リサは少し顔を赤くして

「あ、ありがとうございます」

そんなやり取りをしていると丘に到着した

リサはタクシーのおばさんに

「10分くらいで戻るので、帰りもお願いします」

と言い、リリィと一緒に丘の頂上まで登った

リリィは満面の笑みで

「うわぁ!すごいです!!」

一面に広がる夜景と、夜景の光にも負けない程の月が輝いていた

リサも思わず

「きれい・・・」

と声が出る

リサはリリィの満面の笑みを見ているとその姿が一瞬

子供の頃の自分と重なった

「えっ」

リサは驚き目をこする

そしてリサの頭に流れてくる

子供のころの記憶。忘れていた、いや忘れようとした記憶が溢れてくる

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Cry over ぽんせい @ponsei

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