第15話ドラゴンと絶望

やばい…!

どうしたらいいんだ!?


いや…あんなの倒せるの?

倒す…いや…私がそう言ったんだ!


仲間にするしかない!


その時聞こえた幻聴が言った。


…お前が、仲間を作れるの?


ルアナがぴたりと一瞬止まった。

そして、その一瞬が、生死を分ける。


あ…茶髪の子、食われちゃう。


この世界は、弱肉強食だ。


ルアナの頭に流れた言葉だった。


「狐…?」


なにその顔…ごめんって。


ドラゴンがガブっと食べた。


ごくりとのまれた時ルアナは

悲しいという顔でもなく

悔しいという顔でもなく

嬉しいという顔でもなく

虚無顔だった。


「ネサくん?」

白髪の子が茶髪少年の名前らしき名前を言った。


私があんな戦いをしたから?

…私のせいだよね。


ドラゴンがルアナの方に来た。


来た…!

食われるのかな…。


「狐さん!」

白髪の子が叫んだ。


あ…やば…

でも、私のせいだから

しょうがない!


ルアナが覚悟を決めた時だった。


その時、ドラゴンの肌色が青に変わって

ドラゴンがしゃがんで言った。


「…!お待ちしておりました。

ルアナ様」


えっ、どう言う事?


「狐さん…?」

白髪の子がルアナに絶望した目を向けて言う。


「一瞬の隙で食べれました」

ドラゴンが涙を流して言う。


「なに…それ」

白髪の子が言った。


はっ…どういうこと?

なんでドラゴンが泣いてるの?

私のスキルが発動したの?


ルアナが疑問の顔をする。


仲間に?

まだ、スキルまだ発動してないよね?


「…っ!騙したな!?魔物!」

白髪の少女が言う。

 

「所詮は魔物!信頼なんかしなければ!

…ネサは!」

白髪の子が怒りながら言う。


ここから逃げないと

ここにいては、ダメだ。


ルアナが、帰ろうとすると。


「待ちなさいよ!!!」

白髪の少女が叫んだ。


体が痺れるような悲しい感じだ

…逃げたい。


「狐さん!…名前なんて言うの。」

ツノの生えた子が悲しそうに言う。


名前言ったらダメじゃないか…?

いや、それでも言った方が

…罪が軽くなる。


「…ルアナ」

応答すると、悲しそうな背中を残して

ルアナは、森へ、姿を消した。

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