第12話 神社暮らしが始まりました

「あれ、私…って!」

ルアナが、和風な畳の部屋でゆっくり目を覚ます。


…こやっ?


「ルアっち!おっは!」

コアが勢いで障子を横にスライドする。


コアさ…ん?

声がコアさんの猫!?


そこには、猫又の姿をした

萌え袖魔物がいた。


「えっ、誰?」

ルアナが尋ねると。


「コアだよ!?」

コアが驚いたように言う。


コアさん?!

…そういえば魔物なんだっけ?

魔物だから話せるんだったんだっけ


「コア、それじゃわかんないよ」

カイが横から現れる。


「疲れちゃったんだもん!」

むぅ!としながら言う。


「カイ!無事!?」

ルアナがカイに飛びつく。


「はい、守ってくれてありがとうございました!」


「というか、神社!?」


ルアナが、外に出て言うと

そこには、いつも通っていた、神社の姿があった。


「傑作なのだ!」


後ろからコアがドヤりながら言う。


すごい、私が毎日行ってた神社に

そっくり。


崖を削って長い階段を作ったのか

それに、綺麗な鳥居、御社殿、石像、


「コア、よく作ったね!」


ルアナがコアを撫でながら言うと

カイが後ろで興奮しながら観察していた。

「魔物と魔物の話し…」


「そうだろぉう!やっぱりボクは天才!

…でも、ルアっちのイメージとなんか違うって言うか、なんというか」


えっ…?


「そんな事ないと思うよ?」

ルアナがフォローする。


「ルアっちのイメージより、寂しいというか」

コアがしょぼんしながら言った。


コアには、どこからどこまで伝わっているか、わからないけど…

たぶんここには…狐が足りない

そう、私の相棒であり

ゆういつの理解者


「レモン…」

ルアナが遠い目で寂しそうに言う。


「ん?なんか言った?」

コアが言う。


「…あっ、いやなにも!」

ルアナがしらけた顔をした。


そうだわ、私狐だから…

レモンの代わりの狐じゃんか

代わりになれるかな…


「というか!お金ってどのぐらい?」

ルアナが聞く。


「えっ、いらないよ?」

コアが答えた。


えっ…?


「これを作ったのがお金の代わりさ」


………職人だなぁ。


「でも、さすがに何も出さないのは…」

ルアナが返答に困る。


「いいのに!

…じゃあ、ここに住もうかな」

コアが言う。


「へ…?」

「綺麗だし!今の家ボロボロだったし引っ越したいと思ってたのよぉ!」

尻尾をふりながら言う。


「住むって、なんで!?」

ルアナが驚きながら言う。


「理由?

…ルアっちは、謎の魅力があるからかなぁ」

コアが言う。


「あっ、わかります

なんか、あまりにも常識がなかったり」

カイが言う。


うぐっ!

…しょうがないじゃないか!


「けってぇい!

あっ、カイもだからね」

コアがカイを指差す。


「なんでですか!?」

カイが驚く。


「だって、家作って欲しいって言ってたじゃん」

コアが言う。


「そうですけど…ルアナさんに迷惑です

カイがおどおどする。


「大丈夫だよ?楽しそうだし」

ルアナがきょとんとする。


「魔物と住む…最高…」

カイが言う。


「セクハラッ!!!」

コアがカイを叩くとカイが痛いと言った。


「あはは…」


こうして、私達の神社暮らしが始まるのでした。

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