石灯籠

死んだ人間のトランクケースが

密かに隠し持っているショーケース

吉野ヶ里からみえた勾玉みたいに

我ら人類の営為を見てる


かつて石灯籠は作られて

靴音でへべれけな桃源郷を

踏破しよう踏破しようと

這いつくばってはすっかりしなびた大葉


どうか、堪忍してくんなまし

なめされた我らの面の皮

そぞろに舌と舌を巻きつけては

おあつらえむきよ桂むきのお顔


カメラ前座るニュースキャスターの

写し鏡が増殖しているうつしよ

我ら千年石灯籠

夜の道駆けるねずみを照らす

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青い声の詩集 唯六兎 @rokuusagi

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