第4話 故郷で幼馴染と再会

 翌日、私は新幹線の車中にいた。昔は夜行列車に揺られて十時間以上もかかったものが、今では三時間弱で故郷へ着いてしまう。駅弁だって窓を開けて駅弁を売りにくる情緒もなく、あっと言う間に故郷の駅に到着した。そこからローカル線で三十分、私は四十年ぶりにいま故郷の駅に一人で降り立った。

 目の前に海が広がり、かもめが飛び回っている。小さな駅はまるで小屋のようだ。

それでも当時は駅員も居て、売店もあったが今は無人駅となり、ひっそりとしていた。


 駅前もすっかり変わって、昔の面影がまるでない。そんな故郷の景色を眺めていると、同窓会発起人である村上正春がクラクションを鳴らした。やがて車から降りて手を振っている。私も軽く手をあげた。

 「真人か? 久しぶだなぁ正春だよ。分かるか」

 四十年ぶりに見る村上正春は、頭が薄くなり残りの髪の毛も半分が白髪になっており、名前を言われないと分からないくらい変わっていた。自分だって似たようなものだ。白髪が増えて額の皺が年輪を表していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る