第45話 恋人と俺の部屋
作った料理を、いつものように互いに食べさせ合って朝食を済ませると、真琴のことを初めて俺の部屋に招くこととなり、一階にあるリビングから出て階段を登り二回にある俺の部屋の前に着く。
そして、そのドアを開けると真琴と一緒に俺の部屋に入った。
「ここが、架くんの部屋……!」
俺の部屋は、引き出し付きの机の上にパソコン、その横に本棚があり、あとは白のベッドに紺の布団があるだけの、とてもシンプルな部屋となっている。
「せっかく真琴が来てくれたのに、何も無くて悪いな……何か気の利いたものの一つや二つぐらい置けたら良かったんだが」
「ううん、そんなことないよ……私は架くんが普段過ごしてる部屋に来られただけで嬉しいし、何より────」
真琴は俺の右頬に一瞬キスをしてから頬を赤く染めて言った。
「架くんが一緒に居てくれるだけで、どんなところでもそこが私にとって一番楽しい場所になるから」
「俺も同じ気持ちだ」
そう言うと、今度は俺が真琴の左頬に一瞬だけキスする。
それによって、真琴は俺のことを愛の込められた目で見つめながら言った。
「架くん……あと何回か、いい?」
「あぁ」
その後、俺の部屋に二人きりというこの状況も相まって感情を抑えきれなくなった俺たちは、互いに何度か互いの頬にキスをし合う。
……その間、言葉にせずとも互いに唇を重ねたいということを考えているのが伝わり合っていたが、それはあくまでもクリスマスにするということだったので、どうにかそれを我慢して今できるやり方で互いに愛を伝え合った。
それが落ち着くと、俺たちは俺の部屋のベッドに隣り合わせに座って話し始める。
「……私たち、ちょっと前まで友達同士だったんだよね」
「そうだな」
「それが、今ではこうして恋人になってる……」
「……俺も不思議な気持ちだ、まさかこんなにも誰かと愛し合えるなんて、少し前までは考えてもいなかった」
「架くん……」
「真琴……」
互いの目を見つめ合って、またもさっきと似たような雰囲気になりそうになった俺たちだったが────互いに首を横に振って言った。
「せ、せっかくのクリスマスイブをずっと家で過ごすのももったいない気がするし、クリスマスが到来した街並みでも見に行ってみるか」
「う、うん!そうしよっか!」
このまま家に居ると、真琴とずっと愛し合っているだけでクリスマスイブが終わりそうだったため、それを避けるために俺と真琴は一緒に街に出かけることにした。
その後で、真琴とずっと愛し合うだけと言うのもそれはそれで最高のクリスマスイブになっただろう、と思いながらも、やはり俺はもっと色々な時間を真琴と過ごしたいと思ったため、出かける準備を終わらせると俺と真琴は腕を組んで一緒に家の外に出て街へと出かけた。
そして、カフェでクリスマス限定のドリンクを二人で飲みながら会話を楽しみ、街のクリスマス仕様になった装飾や夜のイルミネーションを楽しんでから、俺と真琴は家への帰り道を歩く。
「いっぱいクリスマスを満喫したね〜!」
「楽しかったな」
「うん……!」
俺たちは、互いの腕を絡めていた状態から恋人繋ぎで手を繋いで、続きを話し合う。
「帰ったら、まずはご飯食べる?」
「そうしよう、その次はお風呂だな」
「……一緒に入ってくれる?」
「言われるまでもなく一緒だ」
俺がそう言うと、真琴は頬を赤く染めて嬉しそうにした。
そして、次に真琴は俺と手を繋ぐ力を少し強めて言う。
「……お風呂の後は、架くんの部屋のベッド、だよね」
「約束通り、夜は一緒に寝よう」
「……クリスマスになってから、でもいいよね?」
「……当然だ」
その後、俺と真琴は一緒に料理を作って一緒に夕食を食べて、一緒にお風呂に入った。
────クリスマス当日まで、あと数時間。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます