第3話 女友達から初めての誘い
「神咲くん、昨日はごめんね!その……可愛いって言われて、神咲くんの顔見れなくなっちゃって」
「そういうことだったのか、でも秘桜なら告白されたりとか、そうでなくても普段からそんな言葉は言われてるだろうから、わざわざ俺の一意見にそこまで反応しなくても良い」
「神咲くんの意見だからっていうか、神咲くんだけの意見っていうか……と、とにかく今日も恋愛相談あるから、相談してもいい?」
「わかった」
ということで、次の休み時間、昨日と同じく俺は屋上で秘桜の恋愛相談を受けることになった。
昨日は初めての恋愛相談ということもあって相談の終わり方がおかしな感じになってしまったが、今日は二回目だから、しっかりと秘桜の求める答えを出したいところだ。
「今日の相談なんだけど……私、その好きな人と学校の中でしか話したことなくて、一回だけ学校の外で話したことはあるんだけど、その時はハプニングだったから、ちゃんと放課後に一緒にどこかにお出かけとかしたいなって思ってるの」
「なるほど……じゃあ、どうやって誘えば良いのかってことか?」
「本題はもう少し先だけど、そこも気になるかな……神咲くん的に、こうやって誘われたら嬉しいとかってない?」
俺が嬉しい誘われ方、か……
俺は少し考えてみたが、結局────
「どんな方法だったとしても、誘ってくれるなら俺は嬉しいと思う」
「それって、相手が友達でも?」
「え?あぁ、友達だったら普通に嬉しいんじゃないか?」
「本当にただ誘うだけでも良いの何か他に付け加えた方がいい言葉とかない?」
「あくまでも俺の意見だから秘桜が好きな人に適用されるかはわからないが、俺は誘ってもらえたら嬉しいと思う」
「ううん、神咲くんがそれで良いなら……うん、わかったよ」
秘桜は一度頷いたが、本題はもう少し先と言っていたことからも話はここからなんだろう。
予想通り、秘桜は少し間をあけてから続きを話し始めた。
「それで本題なんだけど、初めてのお出かけ場所はどこが良いと思う?女の子とかだとショッピングモールとかでぶらぶら歩いてるだけでも良いんだけど、男の子と出かける時はそうはいかないかなって思って」
「なるほど……場所、か」
確かに場所は重要だ。
男女が出かける場所と言えば、遊園地に水族館、映画館からフード店まで多岐に渡るが、一番最初に出かける場所というのはやはりかなり重要になってくるだろう。
「無難に美味しいものを食べに行く、とかで良いんじゃないか?」
「美味しいもの……神咲くんは、何か好きなものとかある?」
どうしてここで俺に聞いてくるのかわからなかったが、会話の流れ、もしくはその好きな人に聞くときの練習といった感じだろうか。
一応答えておくことにしよう。
「ケーキが好きだ、いちごが乗ってると特に良い」
「え、ケーキ……!?私ちょうどこの間美味しいケーキのお店見つけたよ?」
「そうなのか」
「うん、せっかくだから、今日の放課後一緒に行かない?」
「……え?俺と?それよりその好きな人っていうのとどこに出かけに行くか────」
「いいからいいから……!ね?」
「……そこまで言うなら」
秘桜の謎の勢いによって、何故か今日の放課後俺が秘桜とケーキを食べに行くことになった。
せっかく美味しいケーキの店を見つけたならその好きな人と行けば楽しめたと思うが……俺が誘われたからには全力で楽しむしかないな。
そんな話をしていると、そろそろ休み時間が終了に近づいて来たので、俺と秘桜は一緒に教室に戻った。
「勢いで誘ってみたら緊張しなかったけど、今になって緊張してきた……!今日が神咲くんと初めての……お出かけ!」
そして、今日の学校での授業が終わり────放課後、俺と秘桜は早速二人で一緒にそのケーキ店へと向かい始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます