第9話 心が綺麗な女はみな美しい。私が言いたいことです。

ここは総武線の新大岩。春子は零堂珈琲で今日も働く。

春子はいつも心配だ。なぜなら春子と出会う男は「死んでしまう」からだ。

察しがいい読者のみなさま大当たりです。

春子は幽霊なのです。

ただし春子は男を死なせたくない。

そこで、今回赤田葉一に心のこもったあたたかいコーヒー、そしてきつねのお守りを壊したのでした。


「わたしのものにしてもよかったのかな? がんばったあとでがぐっときた。 4年前たしかにあの男性と奥さんは別れた。 そのとき泣きじゃくっていたあい。 お金がないのが原因で不仲になった。 新しい旦那さんは大手飲食業界の御曹司。 でもまた不倫。 よくうどんが食卓に並ぶがあの子が食べたかったのは天ぷらうどんではなく、きつねうどん。 」

そういうと春子はコーヒーを淹れた。

「禍福はあざなえる縄の如し」





赤田はあいを抱きしめた。

「お父さん、あいといつまでもきつねうどんを食べるぞ。」


あいはこたえていう。

「きつねのお守りは食べられるのがこわかったんだよ。あー、よかった、喫茶店の幽霊のたたりじゃなくて!」


太陽が昇る。陽の光はすべての人を均等には照らさない。

そこまでするほど、太陽もいいことはしない。


この家族に愛の光をさしのべたのは、本来月であっても蒼く照らしていく幽霊なのであった。

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