第8話 かくも簡単に人は人を忘れます

赤田は言葉を失った。

「あのコーヒーは美味しかった。」ただその言葉は口にした。


「うーん、清楚で愛想が良くて、青いリボンで髪を結っていたんだって」あいは赤田をじっとみた。


「見ていないよね?」


「なんで疑うんだい?」


「あー、お父さん知らないか。幽霊がみえる人って死が近いんだよ。」こみ上げてきた。


「見ていないよね?」


赤田はあいに心配をかけてはいけないと思った。

「あい。見ていないよ」


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