第7話 壁に耳あり障子に目あり、ですよ。

あいは赤田に「お父さんのコーヒーもってきてあげる」というと、にこりとわらい席をたった。


赤田は「それにしても……」と自分のわれたお守りとあいのお守りを並べた。


なんで僕のだけではなく、あいのもわれているんだ? 偶然ではないのか。虫のしらせではなかったのか。それはいいのだけど。


考えているうちに、あいがコーヒーを二つもってきた。


「ありがとう、あい」


「ううん、そうだ、一昨日わたし新大岩にアルバイトの面接にいったんだ。」


赤田は「ん?」ともらした。


「あそこで朝はコーヒーを飲んだんだ。

確か……」


「昨日は、お父さん新大岩にいたんだよ」


「え!?お父さんも?駅の近くの零堂珈琲っていう喫茶店でコーヒー飲んだんだよ」


「ああ、あそこに青いリボンをした若い女の子の店員さんいたね」


「え?ま、いいや、わたしさとなりの地元の人、おじさんたち二人なんだけど、そこの零堂珈琲っていう喫茶店で働いていた『春子』っていう店員さんがいたんだって。」


「なにがいいたいんだい?」


「見ていないよね?」あいは急に表情を暗くした。


「だから、なに?」


「その子、自殺している」


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