第7話 オフ会

自分の好きなアニメが終わってしまうのは達成感よりも哀しさのほうが勝る気がする。もう週末に放映を待つワクワクが無くなると思うと千尋は心底悲しくなった。

「ニャ?」

不思議そうな顔でデシが覗き込んでくる。たまらなく愛おしくなって指先で頭をかくと気持ちよさそうに身体を預けてきた。

放送終了から数十分後、SNSではちらほらとファンの感想や考察が書き込まれていた。千尋は左手で猫と戯れながら、右手でパソコンを操作していく。生放送は今日はもう終えて、いつもの仲良しグループチャットで「アカネちゃん」を振り返ることにした。トークルームはアニメをみていたリスナー達が作品の内容についての感想で溢れている。


………………

スネーク「でもやっぱ予想した通りのラストだったな」

アルマゲドン「泣けました」

退屈な門番「あー続きでないのかなァ」

孤高の戦士「出るよ」

スネーク「なんでわかるんだよ笑」

タイガー「でもおもしろかったから出るはず!売れるし!そう信じたい!」

野菜売る人「ほんとにそれです!」

ゴブリン「だと最高ですね(^-^)あー、毎週の楽しみ減る…」

退屈な門番「わかるー。仕事いきたくねー」

ゴブリン「し、仕事…」

タイガー「仕事…う、息が」

スネーク「くさい?」

タイガー「いっぺん、嗅いでみる?…おい」

孤高の戦士「おつかれ」

タイガー「おつかれ笑?」

スネーク「うぃ」

タイガー「うぃじゃあねぇwww!」

野菜売る人「wwww」

ゴブリン「wwwwww」

退屈な門番「なー!まじで来月の連休オフ会しない??ひっさしぶりの休みなのよ」

タイガー「おいおいおじさんはスルーかい笑?」

孤高の戦士「前も言ったけど空いてるよ」

スネーク「東京近辺ならオーケイ」

アルマゲドン「日にちよりますが、空いてます」

野菜売る人「空いてます!」

退屈な門番「主は~?」

……………


少し前の放送からオフ会をしないか、という提案が上がった。メンバーはこのグループチャット、常連グループ限定でだ。「アカネちゃん」の最終回に向け、それに合わせての、何というかお疲れ会のようなものをひらこうと。(誰に対してか分からないが笑)

生放送をするようになってしばらく。ぼくがそう感じたように、常連リスナーも各々のことをもっと深く知りたくなったのかも知れない。

さらにオフ会開催予定日の連休に仕事の休みが確保できた。以前、後輩杉田のプロジェクトをカバーした件で会社が休みをくれたのだ。時折みせるそんな気まぐれが如何にもブラック企業らしい。


……………

ゴブリン「参加できるとおもいます!!」

……………


「ニャア!!」

…うん、君は連れていけないよ、デシ。

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