第45話 カミングアウト

だいぶ、有料老人ホームの勤務にも慣れてきた頃。

次のシフトから本格的に夜勤と夜勤助手が入ることになった。

先月末にもらった、大輝さんのシフトを見ると休日が被っている日があまり無かった。

遅番と中番が被っている日が2回くらいある。

どっちかで、ご飯に誘ってみようかな。

夜勤は、2回ペアでつけてもらって、来週からひとり立ち。

夜勤助手は、ペアはつかないけど、2回くらい佐藤さんと笠原さんの日に入れてもらった。

茉里奈と夜勤が被る日があったら嬉しいな。

シフト上、夜勤や夜勤助手があるから、あまり被らない人がいてもおかしくない。

だから、被った時はラッキー!と思うようにしている。

グループホームにいた時は、広瀬管理者が被せてくれていたけど、今は別々だからその必要はない。


そんなある日の休憩時間。

あっ、今日遅番で被ってる日だ。

明日は休みだし、帰りにご飯誘ってみようかな。

💬《お疲れ様です!今日のお仕事終わり空いてる?》

と送信した。

今の時間大丈夫かな?お昼のミーティング終わったかな?

こちらと休憩時間がズレてるの忘れてた(汗)

💬《お疲れ様!仕事終わりは何もないから空いてるよ!》

と返事が来た。

💬《よかったら、帰りにご飯食べに行かない?》

と誘ってみる。

初めて、自分から誘うかもしれない。

💬《いいね!行こう!どこがいい?》

とすぐ返事が来た。決定権を委ねられた??

💬《久しぶりにラーメン食べたいな。》

💬《最近、リニューアルしたラーメン屋行ってみる?前に、姉と行ったんだけど、店内広くなってたよ!》

あそこのラーメン屋さん気になってたんだよね。

リニューアルしてから、なかなかタイミングがなくて行けてなかった。

💬《いいね!私も行きたい!》

💬《決まりだね!仕事終わりに現地集合ね!》

と返事が来て、会う予定が決まった。

よし、午後の仕事も頑張ろう!


退勤時間。

記録をパソコンに打ち込んで、

『お疲れ様でした!』

と、あいさつをして帰る。

これから大輝さんに会うんだ!

「こまちお疲れ様!もう外真っ暗だね。気をつけて帰ろうね!」

と、茉里奈が声を掛けてくれた。

『茉里奈お疲れ様!ねぇ、今度梨乃達が4人で遊ぼう!って言ってたよ。空いてる日ある?』

と、聞く。

同期会も実現させたいね!

「11月の予定なら、まだ大丈夫だよ!」

『梨乃と菜月のシフト見ながら相談かな。4人のグループ作って招待しておくね!』

「ありがとう!よろしくね!」

と、交わし別れた。

帰ったら、4人のグループ作って、みんなで話し合おう。


約束のラーメン屋さんに到着。

大輝さんも、もうすぐ着くと連絡があったから、お店の前で待っていようかな。

「こまちちゃん、おまたせ!」

と、大輝さん到着。

『大輝さんも1日お疲れ様でした!』

と、返して2人で店内に入る。

今日は、お客さん少ない方みたい。

席に座ると、

「こまちちゃん先に決めていいよ。俺は、もうだいたい決まってるから。」

と、メニューを見せてくれた。

たぶん、大輝さんは辛いラーメンだろうなと予想。

『ありがとう!』

と、受け取る。

私もラーメン屋さんで頼むメニューはだいたい決まっている。

「こまちちゃん、半チャーハン食べる?」

ラーメンと半チャーハンって、大輝さんお腹空いてるのね。

『ううん。ラーメンだけかな。余裕があったら、アイス食べたいなって思ってるよ。』

「アイスは食後がいいよね。まだ注文しない方がいい?」

『そうだね。』

ここもタブレット注文なのね。

ちゃんと自分が注文したもの覚えておかないと!

「注文確定しちゃうね!」

と、言われ2人の注文確定。

ラーメンが来るのを待っている間が話すチャンスよね。

『ねぇ、大輝さん。ちょっと話したいことがあるんだけど、大丈夫?』

「うん。どうしたの?」

いざ言うとなると緊張する・・・。

『実はね、私…。私、介護の仕事とは別の仕事もしているの。』

「えっ?!それって副業っこと?!うちの職場って副業して大丈夫なの??」

テンパっていて、あまり理解できていない様子。

こんなにワタワタしてる大輝さん初めて見た(笑)

どちらかというと、作家の仕事が本職で介護の仕事が副業なのよね。

『どちらかというと、介護の仕事が副業かな。』

「そうなの?!じゃあ、こまちちゃんの本業って何?!」

さっきよりも驚く大輝さん。

ますます分からなくなってきた様子。

『私の本業は、作家なの。でも、まだ単独書籍は出していなくて、連載小説だけなの。』

「だから、こまちちゃんのアパートに行った時、本がいっぱいあったんだね!」

『そうなの。』

あの本達は、私の勉強のためであり、趣味活動のひとつ。

そして、憧れの作家さん達の素晴らしい作品を読んで、私も頑張ろうってやる気をもらっている。

「言ってくれてありがとう。たまに、休みが被ってる時に予定があるって言ってたのは、この事だったんだね。俺にできることがあれば協力するよ!」

と、言ってくれた。

協力??

『うーん。協力することはあまりないかな?執筆中は、連絡が来ても返事ができないのと、2週間に1回ミーティングがあるから、その日は連絡頻度が下がるかも。』

連絡頻度が下がることだけ理解してもらえるとありがたい。

「わかった。執筆する日とミーティングの日は、前もって教えてもらえるとありがたいな。」

ミーティングの日は、希望休出してるけど、きちんと言った方がいいよね。

『ミーティングは木曜日だよ。たぶん、その日は1日返事が遅いと思う。』

いつもミーティングの日は、予定が入らなければ、そのまま執筆に当てることが多い。

「わかった。できれば、前日かその週の初めにLINEで教えてほしいな。」

『うん、そうするね!』

意外とすんなり受け入れられた??

もう少し質問攻めされると思ってた。

まあ、理解が早いのはありがたいかな。




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