第44話 アマイサシイレ
それから1ヶ月後。
今日は夜勤明け。久しぶりにグループホームに寄って帰ろうかな。
帰りの車内で、大輝さんからもらったシフトを見る。
おぉ、今日は会いたい人しかいない✨️
今日、お菓子屋さんの移動販売の日だから、差し入れに買っていこう!
大輝さんはプレーンがいいだろうし、菜月は抹茶が好きだし、梨乃はストロベリーかカフェオレかな。
夜勤入りの渡辺さんは、残念だけど余り物で(笑)
そういえば、渡辺さんって甘いもの好きだっけ?
食べてるところ見たことない気が・・・(笑)
とりあえず、プレーン、ココア、ストロベリー、抹茶、カフェオレを買っていこうかな。
私は、秋限定のかぼちゃプリン!
朝だから、タルトも売ってるかな?
明日の執筆後の至福の時間に買っていこうかな♡
ついでに、近くのスーパーでお買い物もしようかな。
そうすれば、今日は帰ってから出掛けなくても済む。
移動販売のショーケースを見ると、タルトがあった。
ん〜、たくさんあって迷うな〜。
迷った時は、いつものにしようかな!
スーパーでお買い物をして、お菓子屋さんのシフォンケーキを買ってグループホームへ向かう。
『おはようございます。』
と、管理者にあいさつをしてフロアーへ。
「あっ、こまち久しぶり!あれ?今日、夜勤明けでしょ?どうしたの?」
と、梨乃。こっちの夜勤明けは、貝瀬さんだっけ。
『久しぶり!うん、ちょっと渡したいものがあってね!』
「そうなのね!ねぇ、ちょっとそれより聞いてよー!」
と、梨乃は貝瀬さんのグチを話し始める。
私が転勤して2ヶ月ちょっと経つけど、相変わらずらしい。
「今日もさ、パッドの補充はしていかないし、缶とか瓶のゴミも溜まってるのに、捨てないで帰ったのよ?!」
と話す。
梨乃も菜月も貝瀬さんには呆れているらしい。
『まあ、言って聞くような人じゃないもんね。酷かったら、管理者に相談した方がいいよ。管理者か主任が言えば聞くと思うよ。』
何回言っても”忘れちゃうだよ〜!仕方ないじゃん!”とか”いちいち細かいよ〜!”と言って、片付けられてしまう。
”すみません。気をつけます。”って言えないのかな?ってたまに思う。
逆に、よくそんな態度で社会やってこれたな。って思う。
「アイツは、誰が言っても聞かないよ。もう言うだけ無駄。気づいたら、こっちがやるしかない。」
と、梨乃。
そうなんだよね。そこに行き着くよね。
「松本さん久しぶりだね!」
と、大輝さんに話しかけられた。
『櫻井さんお久しぶりです!お元気ですか?』
と、あいさつを返す。
直接会って話すのは久しぶりでちょっと緊張する(笑)
「ねぇ、2人はいつまでその堅い呼び方なの?疲れない?」
と、梨乃からツッコまれる。
『疲れるけど、今はお仕事中でしょ?ちゃんと切り替えないと。』
本当は、いつものように呼びたいけど、お仕事中は公私混同してはいけないわ。
「相変わらず真面目ねー(笑)でも、私達の前では、分けなくてもいいよ?誰にも言いふらさないからさ!」
と、言ってくれる梨乃。
それは、分かっているけど、誰がどこで聞いているか分からないから、油断できない。
「こまちのガードが堅すぎて、2人が付き合ってること私達以外知らないからね。」
と、菜月さんご出勤〜!
ガードをしているつもりはないけど、バレないようにとは思っている。
正確には、管理者も知っている(笑)
そして、今日夜勤明けで来た理由を伝える。
「これって、早い者勝ち?それとも櫻井さん優先?」
と、ソワソワしている菜月。
『大輝さん優先かな。』
たぶん、誰も被らないと思うけどね。
大輝さんは迷わずプレーンを選んだ。
「私は、ストロベリーもらうね!」
と、梨乃。
「私は抹茶〜!」
と、菜月。
うん、2人の好みもバッチリ♡
管理者は、たぶんココアを選ぶと思うから、渡辺さんはカフェオレね。
「「こまちありがとう!」」
『こまちちゃんありがとう!』
「どういたしまして(*^^*)みんなお仕事頑張ってね!」
と伝えて、私はアパートへ帰った。
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