第42話 アラタナバショ
大輝さんにお弁当を作るタイミングがないまま、転勤初日を迎えた。
今日から、1週間くらいペアで中番業務を教えてもらう。
今日のリーダーは佐藤さんで、教えてくださるのは笠原さん。
『今日から、お世話になります。松本こまちです。よろしくお願いします。』
と、ステーションにいる職員にあいさつをする。
「松本さん、久しぶり!元気にしてた?」
と、最初に話しかけてくださったのは、今日ペアについてくださる笠原さん。
「松本さんおかえり!」
と、南野さん。
職員も入れ替わりがあったみたいで、シフトをもらった時、半分くらい知らない人だった。
「今日と明日は、笠原さんに教えてもらってね。」
と、佐藤さん。
『はい!笠原さん、お願いします。』
「よろしくね!」
今日のメンバーは、佐藤さん、笠原さん、南野さん、鈴木さん、私の5人。
「松本さんと鈴木くんは、初めましてだっけ?」
うーん…鈴木さんと一緒になったことはあまりない気がする。
ちょっと覚えてないな…。
『少し一緒になったくらいで、私が異動した気がします。』
たぶん、会ったのは鈴木さんが入りたての頃。
ガッツリ一緒に仕事する前に、グループホームに異動したと思う。
「そうですね。すぐ異動しちゃいましたね。よろしくお願いします。」
『はい!こちらこそよろしくお願いします!』
さあ、勤務開始!
利用者様は、ほとんど知らない方ばかりだ。
知っている方は、2、3名くらい。
利用者様の顔と名前を覚えるのが大変そうだな。
やっとお昼休憩。
一緒に介助に入って、特徴とか教えてもらったんだけど、全然分からない…。
書き出してみた方が、頭が整理されて分かるかな?
「松本さん、半日お疲れ様!仕事はどう?」
と、山本施設長が声を掛けてくれた。
『山本さん、お疲れ様です。まだまだですね…。』
「そう?まあ、まだ初日だしね!あんまり頑張りすぎないようにね!あっ、そうそう。次月の希望休の紙、ステーションにあるから、あとで笠原さんに聞いてね。」
『ありがとうございます。』
希望休か。
大輝さんと相談ね。
ミーティングの日も確認しておかないと。
「今日はいないけど、青木さんと高橋さんも年齢が近いみたいだから、仲良くなれるんじゃない?勤務が被ったら、話してみるといいよ。」
と、笠原さん。
青木さんと高橋さんは、会ったことがないから、どんな人だろう?
『はい、ありがとうございます!』
仲が良い人は、茉里奈以外にいないから仲良くなれたらいいな。
「矢崎ちゃんも松本さんが来るの楽しみにしてたよ。確か、今日夜勤で来ると思う。」
と、南野さん。
『私も楽しみにしてました!そういえば、佐藤さん夜勤に復帰できるようになったんですね!』
また茉里奈と働けるのは嬉しい。
私が、有料で働いていた時は、佐藤さんはリーダー勤務ばかりだった。
「そうなの!まだ、腰は痛むから、夜勤と夜勤助手合わせて4回くらいにしてもらってるの。」
あの頃より、腰痛も楽になったってことかな?
今月のシフトは、全部中番で組まれている。
日中の業務の流れを覚えたり、利用者様の顔と名前をしっかり覚えたりする時間はありそ
う。
来月は、早番とか夜勤が入るのかな?
そして、あっという間に2週間が経った。
中番勤務は、独り立ちしてだいたい慣れてきたと思う。
「そういえば、松本さん介護福祉士取ったんですね!」
と、伊藤さん。
『はい。今年の1月に受けました。』
「えっ?そうなんですか?!私、来年受けるんですけど、難しいですか?」
と、青木さんに聞かれた。
『そうなんですか?難しい問題もありました。でも、問題の解き方のコツ?みたいなのが分かれば、ある程度大丈夫です!』
受験対策講座は受けておいて損はないと思う。
「そうなんですね!今、対策講座を受講中なので、しっかり聞いておきます!」
『何かあれば、力になります!何でも聞いてください。私もいろいろ聞きます。』
「頼りにしてます!私で良ければ、教えられる範囲で教えます。」
青木さんは、可愛らしい方。
私の2歳年上で、今年30歳になるらしい。
「こまちって時々、年上に見えるよね。頼りになるし、落ち着いた雰囲気もあって。」
と、茉里奈に言われた。
そんなつもりはないけど、周りからはそう見られているのね。
「うんうん。今、どっちが年上か分からなくなったよ(笑)」
と、青木さん。
えっと…それは喜んでいいのかしら?
『それは、褒めてますか?』
「ごめんごめん。反応に困るよね。褒めてるよ!」
茉里奈に悪気がないのは分かってる。
でも、本当に反応に困ってしまった。
「仲が良いのね!」
と、聞いていた笠原さん。
同期で同い年だからね、
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