第31話 フオンナウワサ??
正式に異動する日が決まって、管理者から辞令も出た。
転勤日は、9月21日からになっていた。
やっぱり、少しでも早い方がいいのかな?
「松本さん!本当に転勤してしまうのね。寂しくなるわ…。」
と主任さん。
主任さんは、私がグループホームに転勤してきた時から、いろいろと気にかけてくださっていた。
有料老人ホームと掛け持ちをしている時期もあって、シフトの調整でとてもお世話になった。
『私も、笛木さんに会えなくなるのは寂しいです。必ず遊びに来ます!何年後になるかわかりませんが、また戻ってくるのでその時はまたよろしくお願いします。』
「絶対来てね!酒井さんか宮田さんに毎月シフト送るようにお願いしようかな。」
『もちろんです!たぶん、頼まなくてもシフト送ってくれると思います(笑)』
「ふふふ、3人は本当に仲が良いのね!きっと、松本さんなら、有料に行っても上手くやっていけるわ!」
『ありがとうございます。私と入れ替わりで新しい人が来るみたいなので、お願いします。』
主任さんに励まされたら、少し不安が消えた。
「もちろん!体調には気をつけてね!」
『ありがとうございます!』
まだ1ヶ月あるんですけどね(笑)
日勤の主任さんが帰ると、夜勤の大輝さんが
「松本さん、本当に転勤しちゃうんだね。」
と少し落ち込んでいた。
失礼だけど、落ち込んでる大輝さん可愛い。
『そうですね。1,2年という期限付きなので、またこっちに戻ってきます。』
それ以上かかるかもしれないけど、いつか戻って来れると思う。
「そうなの?その間に、新しい人見つからなそうだけど、待ってるね。」
『ですね(笑)とりあえず、1,2年頑張ってきます!』
と、伝えて遅番業務に戻る。
2年以上かかってもいいと思っている。
少しだけ、いつかこっちに戻りたい気持ちと、ずっと有料でもいいかなと思う気持ちが戦っている。
貝瀬さんのセクハラにあわなくて済むと思うと、だいぶ楽。
ウザイほどしつこいLINEは、今より増えそうだけど、直接会わなくなるから楽だ。
遊びに来るのも、貝瀬さんがいない日を狙うし。
遅番業務も、大輝さんの夜勤業務も少し落ち着いた頃。
「仕事終わりとかさ、タイミングが合う日は会おうね!」
『はい!ちゃんとシフト渡します(*^^*)』
「俺が渡さなくても、酒井さん達が渡してくれそうだね(笑)」
『たぶん(笑)あっ、そうだ。大輝さん、隣のユニットの職員に変なこと言いましたか?』
「ん?変なこと?何か言われたの?」
『この前、夜勤明けで帰る時に、《有料に戻れるようになって良かったですね!》って言われたの。』
私、グループホームに転勤してきてから、一度も誰にも有料に戻りたいと話したことはない。
一時期は戻りたいと思っていたけど、今はもう思っていない。
「あー、俺も聞いたことある。こっちに異動してきてから、ずっと《有料に戻りたいって両方の管理者に言ってたらしいよ。それで今回、有料の施設長から戻ってきて欲しいって言われて戻れることになったらしいよ。》って、貝瀬くんが話しているのを聞いたよ。」
は?何言ってるの?
言ってること、全部デタラメなんだけど?
もし、まだ戻りたいと思っていたら、梨乃達に相談するし、今回の異動も悩んでいたことを知っているから、信じていないとは思う。
『それを櫻井さんは、信じましたか?』
「信じてないよ。松本さんから相談されていたからね。行きたくて行くわけじゃないって知ったからね。酒井さん達も信じてないよ。」
良かった。
とんでもないデマ情報を流してくれたわね?!
一部の信頼している人達が信じていなくて良かった。
『良かったです。まあ、異動したら、もう貝瀬さんには会わなくなるので、何を言われてもいいです。』
「会いたくなったら、電話するかも!(笑)それか、会いに行くよ!」
ちょっと強引に会いに来てくれるのって嬉しい。
ドラマみたいで憧れちゃう!
『ふふふ、待ってます。私からも行ける時は行きますね!』
と言うと、珍しく顔を赤らめて、
「松本さんから、そういうことされたことないから、めちゃくちゃ嬉しい。」
と、言われました。
まあ、今までは恥ずかしくて言えなかったし、離れちゃうから伝えられる時に伝えないとね。
『伝えられる時に伝えないとね。』
職場が離れたら、今までのように直接話すことは減ると思う。
だからこそ、素直にならないと!
離れたら、少し素直になれるのかな?
それとも、心配させたくないって強がっちゃうかな?
「いつもそうやって伝えてほしいな。」
あと1ヶ月。
大切に過ごそう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます