第30話 ケツダンノトキ
転勤のお話があってから、1週間が経った8月中旬。
今日は、山本管理者と広瀬管理者と3人で異動についての話し合いをする日。
「職員が少ないということ。じっくり教える時間と期間を確保することが難しいこと。それらを含めて、こちらの業務の流れをある程度分かっている松本さんに来てもらえると、大変ありがたいです。どうでしょうか?」
と、来てほしい理由を含めて説明する山本管理者。
「こちらも、ギリギリの人数でやっています。なので、松本さんにはいてほしいです。松本さんがそちらに行くのであれば、人事入れ替えという形で1人来ていただきたいです。」
と、広瀬管理者。
「それは、そうさせていただくつもりです。」
私が有料老人ホームに行くと、向こうの職員が1人転勤してくるのね。
「松本さんどうする?」
と、広瀬管理者に聞かれた。
『私は、行きたいと思っています。新しい人が入るまでの期間でいいですか?』
と、正直に伝えた。
キャリアアップ、スキルアップのためにも、勉強しに行きたい。
「本当に?!はい、いいですよ!」
と喜んでいる山本管理者。
『いつからが良いでしょうか?』
問題は、いつから行くのか、
「本音を言えば、9月からすぐ来てほしいです。でも、引き継ぎがあると思うので、早くて9月21日からで、遅くても10月1日から来てほしいです。」
9月21日だと、割とすぐね。
『分かりました。』
転勤が正式に決定しました。
「1,2年の間には、新しい人を見つけたいと思います。」
『お願いします。』
両方の意味でね。
話し合いが終わると、ちょうど夜勤の大輝さんが出勤してきた。
「ありがとうございました!」
と言って、山本管理者は帰りました。
「松本さん、ありがとう。」
と、広瀬管理者。
スキルアップもできそうだし、別の現場を経験することも大切だからね。
『大丈夫です。私としても、スキルアップできますし、福祉の視野を広げることにも繋がります!新しい人が見つかったら戻ってきます。』
「待ってますね。」
1,2年の間に見つかるか分からないけど、いつかは戻ってくると思う。
話し合いが終わり、遅番業務に戻る。
夕食の片付けが終わって、少し落ち着いた頃。
「今日、山本さんと遼太さんと3人で話し合いしたの?」
と聞かれた。
『はい。10月から正式に異動することが決まりました。』
「10月かー。あと、2ヶ月くらいだね。」
『そうなんです。業務の引き継ぎとかしてたら、あっという間だと思います。』
「そうだね。職員が足りないなら、もう少し早く対応できなかったのかな〜。」
『そうですね。なかなか見つからないんだと思います。』
求人は見るけど、あまり面接に来る人はいない。
やっぱり介護は、やりたいと思ってくれる人が少ないのだろうか。
「でも、何で松本さんなんだろうね?指名されたんでしょ?」
それは、どういう意味?頼りないってこと?
『職員が足りなくて、あまりじっくり教えている余裕がないから、すぐ動ける人がいいという理由みたいです。』
前に働いていたから、大まかな業務の流れは分かる。
「そうなんだ。じゃあ、あんまり会えなくなっちゃうね。」
『そうですね。でも、絶対ここに遊びに来るので!』
「休みの日も合わせようと思えば合わせられるから、絶対会おうね!」
『もちろん!いつでもアパートに遊びに来てね!』
「いや、男が女の子の一人暮らしの所に、気軽には行けないよ( ̄▽ ̄;)俺ん家においでよ?姉もこまちちゃんに会いたがってるよ!」
どうして、気軽に来られないのかは分からないけど、私もお姉様に会ってみたい。
『私も、ぜひお姉様に会ってみたい!』
「姉も喜ぶと思うよ!」
『なんか、お姉さんが増えるみたい!』
「うんうん。姉妹みたいな感じになるんじゃない?(笑)」
『ふふ、そう見えたら嬉しいわ。』
会ってみたいって思われてただけでも嬉しいのに、いつか会えると思うとワクワクするわ!
「俺より仲良くならないでね?」
『うーん、どうだろうね?』
「会わせるのやめようかな。」
そうくるか(笑)
『気をつけるね!』
「それでいい。10月まで、一緒に頑張ろうね!」
早くて9月21日だけど、どっちになるかは管理者達にお任せした。
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