第17話 カレノナマエ
それから数日後。
今日は、梨乃と菜月とお花見に行く日。
あれから、グループLINEで話し合い、私が夜勤明けで行くことになった。
アパートまで迎えに来てくれるらしい。
「こまちちゃん、この発注って誰の担当か分かる?前の発注からだいぶ経ってるみたいなんだけど。そろそろ在庫もなくなりそうだから、発注してほしいな。」
と貝瀬さんに言われた。
『そうなんですね。分かりました。帰るまでに発注書を流しておきます。』
と伝える。
この発注の担当が誰かは忘れたけど、気づいたら発注してあげようとか思わないの?
「ありがとう!僕、注文のやり方分からないから、助かるよ!!」
分からないのなら、教えてもらおうとは思わないのかしら?
少しイライラしながらも、夜勤の最後の仕事をこなす。
「ねぇねぇ、こまちちゃん!この人の薬が組まれてないから頼んでもいい?」
えっ?その人の薬なら夜中組んだはずだけど…。
『その方の薬は、夜中に組んだはずですが。何か不備がありましたか?』
「漢方薬が追加になったのもバラした?」
『はい。』
「そうなんだ。じゃあ、大丈夫だ!ありがとう!」
何だったの?ただ話したかっただけ?
貝瀬さんは、4つ年下の男性。
歳上には敬語を使うことを知らないのか、初対面の時からずっとこの調子。
だから、私達3人は、逆に敬語で接して距離を縮めないようにしている。
LINEのやり取りも敬語で話すことが多いから
«敬語じゃなくて、タメ口で話してほしいな。»
とよく言われる。
でも、私は親しくなりたいとは思わないので、敬語を貫いている。
職場の人で親しくするのは、梨乃と菜月と大輝さんで十分だ。
夜勤の仕事を終え、梨乃にこれから帰るとLINEを送る。
梨乃達とお花見に行く車内。
「こまち、夜勤お疲れ様!何か、イライラしてなかった?」
と菜月。
『どうして?』
2人の前では、出していないつもりだった。
「LINEだよ。いつもなら、何かしら絵文字つけるのに、今日はついてなかったから。」
と言われた。
そんな些細なことでバレてしまうのね。
「どうせ、貝瀬に何か言われたんでしょ?ムカつくようなこと。」
と運転中の梨乃。
『正解。朝からイライラしたよ(笑)絵文字をつける気持ちの余裕がなかったかも。』
ダメだね。そういう所もスルーできる余裕がほしいな。
「まあまあ。アイツのことは忘れて、桜楽しもうよ!」
と、明るくしてくれる菜月。
「そうだね!こまち、明けだから寝てていいよ!着いたら起こすから。」
と言ってくれる梨乃。
3人でお出掛けするのが久しぶりすぎて、もったいなくて眠れない(笑)
『屋台も少しあるみたいだから、楽しそうだね!』
「そうだね!こまちは何食べたい?」
『うーん・・・焼きそばかな。たこ焼きは、アレルギーがあって食べられないから。』
あっ、そういえば、菜月と梨乃にアレルギーのこと話したっけ?
大輝さんにもしてない気がする…。
聞かれたらでいいと思って、自分からは話してないなあ。
「えっ?こまちアレルギー持ちだったの?!」
と、驚いた表情で私を見る菜月。
『言ってなかったっけ?私、甲殻類アレルギーがあるの。』
「初耳だよ!」
話したことなかったみたい( ̄▽ ̄;)
じゃあ、誰も知らないね。
『ごめんごめん。いつかは、話そうと思ってたんだよ。』
職場の人は、管理者以外知らないってことか。
話している間に、目的地到着!
「結局、こまち寝なかったね。久々に3人でめっちゃ話したね!!」
『梨乃運転ありがとう!3人で話してたら眠くなくなっちゃった(笑)』
「梨乃ありがとう!帰りは、私が運転するね!」
ちょうどお昼前だから、屋台で何か買うのにちょうど良いね。
「何食べる?こまちは、シャカシャカポテトみたいなの食べられる?」
『うん、大丈夫!』
「とりあえず、焼きそばとロングポテトか!」
甘いものは、後で追加で買えばいいもんね。
先に、3人で食べるものを買おう。
「そういえば、こまちの彼氏って名前何?」
「聞いたことないかも!付き合った時は報告されたけど、名前教えてくれなかったよね?」
2人には言ってもいいかな?
2人とも言いふらすような人じゃないし、信頼もある。
『私の彼氏、大輝さんだよ。櫻井さん。』
と言うと、ビックリした表情で、私の両隣に来た。
「社内恋愛?!こまち大人だね!」
「あー、確か櫻井さんに聞かれたことあったわ。理想の男性像的なこと。」
『私、最初は渡辺さんに、社内の男性の中だったら誰が好みか聞かれたんだよね。その後に、櫻井さんから初デートに誘われたの。』
今思えば、私が強いて言うなら櫻井さんって言ったのがきっかけなのか。
私と櫻井さんにきっかけを作ってくれたのは、渡辺さんだね。
「なるほどね!おめでとう!!」
「貝瀬に邪魔されないように、私達が2人を全力で守るわ!」
『ありがとう(*^^*)頼りにしてます。』
たぶん、いつか大輝さんからも相談されるかもね。
3人で焼きそばやロングポテトを食べながら、満開の桜を楽しんだ。
「深い話もできたし、そろそろ帰ろっか!」
と梨乃。
「そうだね!じゃあ、帰りに某有名なコーヒーチェーン店に寄って行こう!」
と菜月。
『賛成!行きも帰りも運転してくれてありがとう!今度お出掛けする時は、私が運転するね!』
「いいの、いいの!そんなに気を使うことないよ!」
「お言葉に甘えて、今度はお願いしちゃおっかな(笑)」
こういうことを言い合えるのも、とっても楽しくて幸せ。
『今、限定のドリンク出てるよ!サクラのヤツ。』
と伝えると、
「サクラ?!やったー!絶対飲む!」
と嬉しそうにする梨乃。
梨乃は、この時期の新作が大好きで毎年飲んでる。
『今回は、3人ともサクラだね!』
3人ともサクラの新作は好き♡
私が1番好きなのは、7月くらいに出る桃♡
某コーヒーチェーン店のフードはあまり食べたことがない。
人によると、美味しいらしいから、今度ゆっくり行った時に注文してみよう。
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