第8話 ニカイメノデート

そして、初デートから1ヶ月が経った。

今日は、櫻井さんと2回目のお出掛けをする日。

冬だから、ワンピースとかスカート系じゃなくて、パンツスタイルにした。

冬だから、スケートに行くことになりました。

学生時代にスキーはやったことあるけど、スケートは初めて。

「こまちちゃんは、スケートやったことある?」

『ないです。初心者なので、何から揃えたらいいのか分かりません…。』

「大丈夫だよ!俺が教えるから。靴もレンタルできるからね!」

私、スポーツ苦手だから、仕事の時と違ってポンコツな姿を見せてしまう気がする…。

櫻井さんは、それでも大丈夫かな?

『あまり大丈夫じゃないかも?(笑)櫻井さんがいてくれるなら心強いです!』

経験あるみたいだし?

頼ってもいいかな。


スケートリンク到着。

「手袋は買わないとだね。女性の手の大きさなら、MかLでいいと思うよ!何色にする?」

『うーん…、紫にしようかな。サイズはどっちがいいんだろ?』

「こまちちゃんの手の大きさなら、Mサイズでいいと思うよ!」

『うん!さく…じゃなくて、大輝さんは、買わなくていいの?』

「俺?俺は、前も来たことあるし、持ってるから大丈夫だよ。」

サラッと名前呼びしちゃった…///

やっぱり慣れないね。

『そうなんだ。』

タメ語も慣れないなー。

タメ語はやっぱりハードル高いかも(笑)

「無理しなくていいよ。少しずつ、こまちちゃんのペースでいいから。」

気づかれてたか…。

それはそれで恥ずかしい///

『ありがとうございます。』

「大丈夫?滑れそう?」

『ちょっと難しいです。』

「だよね(笑)まずは、手すりに掴まりながら歩いた方がいいかもよ?」

まずは、手すりに掴まりながらリンク内をグルグルまわってみることに。

その間も、櫻井さんは私の前をスイスイ滑っていく。

やっぱり、経験者は違うなーと思いながら、地道に進む。

まだ1月だから、リンクもそれなりに寒い。

もう少し着てくればよかったな…。


しばらく、2人で各々滑っていた。

「こまちちゃん大丈夫?そろそろ休憩しない?足痛くなってきたでしょ?」

と櫻井さんが、隣に滑ってきた。

『ちょっと足痛くなってきて、疲れてきたかも。』

と答える。

スケート靴って、履きなれてないからすぐ疲れちゃう。

「休憩しよっか!こまちちゃん寒くない?」

と私の手を引いて、出入口まで連れていってくれた。

こういうことをサラッと出来ちゃう所がスマートというか格好良いというか…。

女の人が惚れちゃうところだよね。

大人の余裕?ってやつなのかな。


リンクの外に出て、2人でベンチに座る。

『櫻井さん何か飲む?』

「うん。飲みたいな。」

『じゃあ、買ってきます。』

「ありがとう!」

ホットコーヒーでいいかな?

私は、ココアにしよう。

自動販売機で、カフェオレとココアを買った。

『はい、どうぞ。』

「ありがとう!こまちちゃん、その格好で寒くない?」

『ちょっと寒いです。』

「俺の上着着てていいよ。」

と、櫻井が着ていたトレンチコートを着せてくれた。

待って、こういうのってドラマの中だけじゃないなのね?!///

現実にもあるんだ…///

こんなこと初めてされた。

「ちょっと大きいね(笑)」

『ありがとうございます///』

「顔真っ赤で可愛いよ!こまちちゃんトレンチ似合うね!」

サラッと可愛いとか言うし///

『リンクに戻りましょう!』

早く、この顔の熱を冷ましたい。


滑っていたら、あっという間に時間はすぎ、夕方になっていた。

「そろそろ帰ろっか!」

『そうですね!』

いろんな意味で疲れた…。

今夜は、ぐっすり眠れそう。

「家に着くの遅くなるかもしれないけど大丈夫?」

『大丈夫です。』

「OK!途中で休憩挟みながら帰るね!」

一人暮らしだから、遅くなっても怒られないんだけどな。

でも、心配してくださってるんだ。

今日は、姉も母もアパートに来るという連絡は来てないから、来ないと思う。

『お願いします。』

大学の友達と遊ぶ時も、たまに夕ご飯食べて帰ることもあるから、心配はいらない。

「夕ご飯どっかで食べていく?」

『いいですね!』

「じゃあ、決まりだね!連絡しておかなくても大丈夫?」

『一応しておきます。』

櫻井さん、私が一人暮らしなの知ってるよね?

しなくてもいいけど、するフリしとくか。

「アリツリーサービスエリアにハンバーガーショップがあるんだけど、そこでいいかな?」

『はい!ハンバーガー食べるの久しぶりです!』

「たしかに、こまちちゃんはあんまり食べてるイメージないかも。」

学生時代は、友達と学校終わりやバイト終わりにたまに食べに行っていた。

だけど、働き始めてからは、あまりないわね。

『学生時代は、友達とたまに食べに行ってましたけど、就職してからはあまり食べなくなりました。』

「そうなんだ!俺は、夜勤明けの日とかよく行くよ!」

『夜勤明けで、ジャンクフード食べたくなるの分かります!!』

「美味いよね!あっ、そういえば、こまちちゃんのお誕生日っていつ?もう終わっちゃった?」

『誕生日ですか?2月です。』

「2月なんだ!その日、休み入れておいてくれないかな?」

ん?なぜ?

『良いですけど…。』

「ありがとう!」

どうして、誕生日聞いたんだろ?

櫻井さんの発言で私の頭の中は、ハテナだらけ。

でも、誕生日の日は、毎年梨乃と菜月とお祝いしている。

応援してくれている2人なら、理由を話せば許してくれるかな。

「こまちちゃんって、男性と付き合ったことある?」

『大学時代に1人だけあります。何かあったんですか?』

「いや、深い意味はないんだ。ただ、男慣れしてないから気になっただけだよ。じゃあ、お付き合いは、もう何年もしてないんだね。」

『そうですね。別れてから5・6年は経ちました。』

「そうなんだ!」

急にどうしたんだろう?

男慣れしてないからって、過去に付き合ったことあるかどうか気になる??

『大輝さんは?』

「ん?俺?俺も、5年くらいは空いてるかな〜。」

『そうなんですね。』

聞いたのはいいけど、どう反応するのが正解なのか分からない。

「松本さんは、この人自分に好意あるなとか、好意あるような行動って分かる?」

『いえ、全く分かりません…。なので言われてから、あの時のあの行動って、セリフってそういうことだったんだって気づくことが多いです。』

「そうなんだ(笑)意外と気づかないタイプなんだね。」

『そうですね。』

そうなことを話していたら、あっという間にアパートの前に到着。

「今日は、ありがとう!また仕事でね!おやすみ。」

『こちらこそありがとうございました!楽しかったです(*^^*)おやすみなさい。』

「良かった!また家着いたら連絡するね!」

『はい。気をつけて帰ってください!』

櫻井さんは、必ず私がアパートの部屋に入るまで見送ってくれる。


2月の誕生日空けておいてねってことは、一緒に過ごそうねってことで合ってる?

梨乃達に相談してみよう。

あと今年は、当日にお祝い出来ないことも伝えないと。

今日の櫻井さんは謎が多すぎた。

深い意味は、本当になかったんだろうか…。

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