第3話 イセイカラノサソイ

ある日の早番。

勤務時間が終わって、ユニットに挨拶をして、帰ろうとした時。

「松本さんって、今フリー?」

と櫻井さんに聞かれた。

急にどうしたんだろう?

『フリーです。』

でないと、阿部さんと遊ばないね。

「よかった。28日って、何か予定ある?」

『28日ですか?予定ないです。』

その日は、梨乃も菜月も仕事だから、予定はないはず。

打ち合わせもまだ先だし。

「もし良かったら、その日一緒にお出掛けしない?」

『はい(*^^*)』

「じゃあ、そのまま空けておいてね!」

『わかりました。』

と約束をした。

28日は櫻井さん、手帳に書いておかないと。

ん?・・・これって...俗に言うデートのお誘いよね??

えっとー、そういう認識であってる?

「グループから、松本さんのLINE追加して大丈夫?」

『大丈夫です。』

「ありがとう。お疲れ様でした。気をつけて帰ってね!」

『はい。お疲れ様でした。』

車に乗り、アパートへ帰る。


車内では、誘われたことで頭がいっぱいだった。

手帳を見たら櫻井さんとの約束の日は、1週間後?!

意外と早くてびっくり。

そういえば、何時にどこに集合とか言われてない。

また勤務が被った日に言われるかな。

当日、どんな服装をすればいいんだろう。

普段の仕事とのギャップを狙うなら、スカート系よね。

年上の人と出掛けるのも、誘われるのも学生以来だから慣れない。

スカートとワンピースだったらどれが良いかな。

梨乃と菜月に助けを求めたい。

今すぐにでも作戦会議を開きたいわ。

最初だから、失敗はしたくない。

とりあえず、服装だけ相談しよう。


梨乃と菜月に服の相談をしたら、いくつか候補を着て全身の写真を送って欲しいとのこと。

2人に同じ内容を送るからグループを作って、そこに送ることにした。

今の候補は、スカート系(ワンピースも含む)が2~3個で、パンツ系が1個。

とりあえず、1人でファッションショーをしながら、全身鏡の前で写真を撮って梨乃たちに送る。


一通り、候補の洋服を着て送ったから、ご飯を作りながら返事を待つ。

私と櫻井さんって、15歳くらい離れてるわよね?

どうして私を誘ったんだろう?

梨乃や菜月の方が、話しやすいし誘いやすそうだけど。

梨乃💬<ワンピース可愛い!あとブラウスも!私的には、花柄のワンピースとブラウスの2択!>

と梨乃からLINEの返事が来ていた。

ブラウス+ロングスカートは、最近のお気に入りなの。

2人には、櫻井さんの名前は伏せて、大学の男友達と出掛けると伝えた。

周りには内密にって言われたからね。

やっぱり、女性らしい服装がいいのかな。

阿部さんと出掛ける時は、職場の人と出掛けるっていう感覚だから、女性らしさとかあまり意識したことないかも。

菜月💬<私もワンピース可愛いと思う!こまちが普段着てるイメージないから、ギャップ萌え狙おうよ!>

と菜月も返事をくれた。

ワンピースに2票ね。決まった!

<2人ともありがとう!当日は、ワンピースで行くね!>

と返事を送り、ご飯を作る。

やっぱり相談してよかった。

梨乃💬<うん、いつでも相談しな!このグループは残しとくね〜。>

菜月💬<そうだね。また3人で遊ぶ予定立てる時にも使えるしね!こまちも何か進展があったら報告してね(*^^*)>

と返してくれる2人。

2人とは、グループホームに転勤してきてから同じ職場になった。

入社時期は同じくらいみたいで、プライベートでも遊ぶし、今回みたいに相談にも乗ってくれる。

自分から友達を作るのが苦手な私と、転勤してきてからずっと仲良くしてくれる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る