2 差し出す頬など必要ない

「ゾウだ。我は非暴力主義を貫く。

 この中に攻撃的な生き物が1羽いるようだな」


「誰のことだ!」


※「単位からしてあなたですね、トリさん」


ゾウ「トリよ、他者を殴る前には立ち止まり、考えるクセをつけるのだ」


トリ「殴る手なんかねぇよ! 翼でぶつぞコラ!」


ゾウ「愛を持つのだ。草木や小石を足蹴にするな」


トリ「そもそも俺らの足はつかむことしかできない作りだ! 目ん玉ついばむぞテメェ!」


ゾウ「チュンチュンうるせーな。言うこと聞けよ踏み潰すぞ」


「こっわ」


トリ「テメェ、非暴力主義者なんだろ!」


ゾウ「頭の中で殴れば気が済むだろうという話だ。助走をつけて殴れ。現実でやらなければ非暴力だ。心に巣くった暴力性を吐き出すのだ」


「ストレス発散の爪とぎは非暴力主義に入るのか?」


ゾウ「ナイス非暴力!」


※「暇つぶしにオリの外のお客さんにウンチ投げても許されますか?」


ゾウ「グッド非暴力!」


トリ「いや、それ人間の世界では暴力!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る