新たな部隊と舞台 Ⅲ
北暦108年に初めてその姿が確認され、人類は多くの犠牲を払いながらも"それ"を排除した。その後も幾度となく現れるその宇宙怪獣は、小型であれ大型であっても1体たりとも同じ形状の物は存在しなかった。故に、こう名付けられた――
Extraterrestrial Non-Identical Monster《地球外 不同一性 怪獣》――通称
それから71年が経った北暦179年、数多くの
全長10mほどの何処か可憐な少女を連想させる人型兵器は
1体たりとも同じ形状をしていない筈の
幸か不幸か、その個体は人類が最初に遭遇した個体と同一個体だったのだ。
最も人間を殺害した一番最初の
人類が苦戦した理由はただ対応できなかっただけではない、その
今では
同一個体、尚且つ通常の
「ステルス!?特殊個体か!?」
リリアは瞬時に触手に絡まれた左側の
爆発で絡めていた触手の4、5本が吹き飛ぶも、痛覚がない
あんなのが居るなんて……
「アルキオネ、応答してください――」
『……ヴィ……ス…………か?』
さっきからノイズが酷すぎる。まさか……これも
「厄介ね……アーシア聞こえる?」
『…………』 『――
また後ろ!?
「――くっ!!」
今度は右の
「そんなに欲しいなら……!」
案の定、がっちりと巻き付いてきた無数の触手はライフルを伝ってDD本体へ到達しようとグニャグニャ
そんな気味の悪い宇宙怪獣をリリアは冷たく煽る。
「お前が掴んできたんだから、離さないでよ?」
相手に掴まれたままの大口径の銃口をスカラベの様な顔に照準を合わせ、リロード済みのマガジンが空になるまで何度もトリガーを引く。
ギィィィィィヤァァァァ!!!!!!!!
リリアは操縦席のモニター越しにベコベコになったスカラベの顔を冷徹な瞳で見つめ、淡々とライフルの弾丸を顔面付近に何度も叩き込んだ。
流石に危機を感じたのか、それともDD越しにリリアの視線の圧を感じたのか、触手を
『リリアさん!?……大丈夫ですか!?』
通信が安定した? 奴が離れたからか?
「アーシア、あれは恐らく
リリアが自身の周囲を警戒していると撤退するガラマス搭載機のDDが1機、爆散する。
「あんな簡単に!?」
続けざまにガラマスのメインエンジンが突如として爆発する。それでもガラマスの対空自動砲座は何も居ないように見える明後日の方向へ弾幕をバラ撒き続けている。
「――これ以上は…………」リリアはライフルを構えるも、あの
「――っ!?」ライフルの照準に一瞬、重装甲に包まれたDDが映り込む。
「あれは――ソフィア?」
『おまたせ』
『すまないリリア!
「――了解」通信が、天音艦長の声がちゃんと聞こえる……よかった
ソフィアはガラマスのブリッジを護るようにイヴサ アセンドを近くに着ける
「どこにいるんだろ?」
『――
警報音が鳴ってもイヴサ アセンドは振り返る以外微動だにしなかった。
「でーたどおり、うしろからくるんだ。――きみのなまえ、
姿を現した
触手は徐々に締め付ける力を強めていくと外部装甲が少しずつ軋む音を上げる。
「ちからくらべ?」
ソフィアの可愛くゆったりとした口調から一転、左右で握っているレバーを勢いよく、思いっ切り押し込んだ。
最も外側にある黒く巨大な装甲が手の平を開くかのように触手を引きちぎりながらゆっくりと開いていく。
触手を失ったサレプティシャスは装甲が薄くなったと判断し、歪んだ口をガゴッと左右に大きく開き、
「やるね。だけど――」
イヴサ アセンドの前面に、光り輝く円形の光子の壁が現れ、出力の低いレーザービームを弾いた。
「きかないよ?」
左右の
「どうしよ。つかまえちゃった……でも、でーた があるってことは――」
いらない こ だね?
ヴィミナスが装備していた
光子収束率――48%
「ぜんぽうにみかたなし、ふぉとんらんちゃー はっしゃ」
トリガーを引くと同時に、
サレプティシャスは逃げるすべもなく過剰な光子に包まれた。爆発すらも光子に飲まれ跡形もなく消滅したが、大量に生み出した光子を吐き出すかの様に、極太のレーザービームの照射は続いた。
徐々に光子の線が細くなり照射を終えると、
「あすと、たおした」
『あぁ、えっと……やりすぎ』
踏ん張るどころか、すっきりしちゃったよ……
だけど、俺たちがもう少し早ければ犠牲は少なかったかもしれない。
その後、この戦局は彼女たち3人によって形勢を逆転し、勝利したのであった。
本当は
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