第9話 ダリオスとの対面
戦いが激化する中、リナとミナに予期せぬ機会が訪れた。
敵軍の中心で指揮を執るダリオスと直接対峙する瞬間が到来した。
荒れ果てた戦場の中、彼らの間には緊張が走る。
ダリオスは冷静な態度で二人を見下ろし、
「エルヴィナの魔法使いたちか。君たちの評判は聞いている。しかし、なぜ君たちはこの戦争を止めようとしない?」
と問いかける。
リナはダリオスの言葉に心を痛めながらも、
「私たちはただ、自分たちの国を守りたいだけです。でも、あなたはなぜ戦争を始めたのですか?」
と静かに反問する。
ダリオスの顔には一瞬複雑な表情が浮かぶ。
「私の国は長い間、資源の不足に苦しんできた。エルヴィナには豊かな土地があり、我々にはそれが必要だった。」
と彼は言葉に力を込める。
ミナは怒りを隠せずに、
「でも、戦争で解決することはないでしょう!無実の人々が苦しんでいるんです!」
と声を上げる。
ダリオスは一瞬沈黙し、深くため息をつく。
「私も戦争を望んでいたわけではない。だが、時には望まぬ選択を迫られることもある。」
リナはダリオスの言葉に少しの同情を感じつつも、
「でも、きっと他に道はあるはずです。戦争ではない解決策を見つけることができる。私たちはそのために戦っているのですから。」
と彼女は力強く言い放つ。
ダリオスはリナとミナの決意に驚きながらも、少し考え込む。
「君たちの言葉には真実なのかもしれない。しかし、今は戦場だ。ここでの選択は、生き残るためのものだ。」
その時、遠くから味方の呼び声が聞こえ、ダリオスは彼らの方向へと向かう。
「これで終わりではない。だが、君たちの言葉を忘れない。」
と彼は去っていく前に言い残す。
リナとミナはダリオスの背中を見送りながら、彼の言葉を胸に刻む。
彼との対面は、戦争の複雑さと、平和への道を模索する難しさを改めて二人に教えてくれたのだった。
「ミナ、私たちは戦い続けなければならない…。でも、ダリオスの言葉にも何か意味がある気がするわ。」
リナが言うと、ミナは頷き、
「はい、リナ。平和のために、私たちはもっと強くならないとね。」
と決意を新たにするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます